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楽譜が届きました☆
2017-02-19 Sun 06:12
ゆにくあです。

月曜になるかと思っていた楽譜が昨日届きました。

届く前にも楽譜は読んでいましたけど(笑


そして、昨日ざっと音出してみた感想。


コーダの左手のここ。

k540.jpg


ここの指遣いが難しい!!
小指を保持音に取られているから、
実質4本しか使えないのが辛いです。

とりあえず、無理やり『ド♯ミ』を13に
切り替えて、次の和音は24で弾いてますが
5がファ♯を押さえている状態での24は
弾きづらく、隣の黒鍵をかすっちゃう・・・。
これは、そういう仕様なんでしょうか。

上から跨いでもいいけど、そうすると次と
その次がアクロバティックで・・・

「そんなこと、内田さんやってない」笑

効率のいい運指を知っている方、
どうか教えてください・・・。


とりあえず、大雑把な強弱のつけ具合と
ペダルの影響を確認するために録音しました。

単なる練習音源です。。

夜だったので、デジピ。
3ページ目からは、初見で楽譜見ながら
音を追っているので、あちこちでいろいろ
起こってますが気にしないでください。

走ってないかみる意味もあったのですが、
走ってるどころかあちこちで拍から遅れて
ました・・・。

あ、それと二階で兄弟喧嘩があったようで汗

途中、ショーンが

I'M GONNA KILL YOU!!

とか言ってますが、それも気にしないでください。
誰も死んでません。






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テスト勉強。
2017-02-16 Thu 16:26
ゆにくあです。


メルがサイエンスで苦労してるようなので、
勉強を見てあげることにしました。


範囲的には、植物の遺伝子組み換えとかそのあたり。
まずは私が理解しないといけないので、4チャプター
程度読んでいるんですが、テキストブック内の用語が
やたらと難しくて、辞書を引きながら読む羽目に。汗

さらに、日本語での文献と照らし合わせて内容を
確認したり、オンラインで過去問を解いてみたり。
・・・と、思った以上にメンドクサイことになってます。

ということでテスト当日までブログ書けないかも。
ま、来週にはテストなんで、ちょっとの間ですけど。

シフさんのお待たせすることになります。すいません。


以上。

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アダージョ ロ短調 K.540
2017-02-14 Tue 05:12
ゆにくあです。


モーツァルトのアダージョ ロ短調 K.540。
ブロ友さんが去年弾いていらして、そして
あまりにあまりに美しい曲なので・・・思わず
楽譜をオーダーしてしまいました・・・。

近いうちに届くとは思いますが、手元にあると
すぐ譜読み開始して1週間くらいはトリップして
しまうので(笑)先にニ短調をきちんと練習&
シフさんのをもう少し進めないと。
・・・あとちょっとだし(気持ち的に)。





しかし、K540。なんたる名曲。
これロ短調だけど、そして、お父さまの
他界した後に書かれた作品ということで、
いやでも関連性を思いますが・・・最後
一番最後のコーダのとこ長調で終わるし
天国へ見送ったと思いたいです。

内田さんの演奏を聴いていると、ところどころ
pa-pa pa-pa と呼びかけているように聴こえて
なんともせつない。




そして旋律的に、これに似てると思う。(別に、似たの
探さなくていいのに。シフさんの影響か・・・笑)




それにしても、これに手をつけてしまったら
ニ短調とロ短調と(短調ばっかり・・・なぜだ)、
それに去年の秋からずっとラジオ体操のように
頭空っぽで弾いている、変奏曲も密かに
モーツァルトなので・・・・それに他にも長調で
弾きたい曲が3つあって・・・

さすがにひとりの作曲家に執着しすぎか。と
自分でも思い躊躇するけど、思う存分ひとりの
作品を楽しむ、ってのも悪くないかな~


それと、バッハ。前に載せたけどBWV992を
いつの日か弾いてみたい(単なる願望)。
とはいえ今はとてもバッハが苦手ですが・・・
少しでも仲良くなれるよう(でもインベンは
やたら難しい曲しか残ってないので汗)
ちょっと戻って、小作品をあれこれ譜読み中。





こちらも超懐かしい・・・・子供の頃、母が
死ぬほどリピートで聴いていた曲、BWV 208。
天使のような歌声だったなぁ・・・ドイツ語・・・
わかんないくせに真似してこっそり歌ったっけ笑



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それってレシピ?
2017-02-13 Mon 20:38
ゆにくあです。


今ね、長男ジョシュア(高1)が学校へ出かけたんだけど
出掛けに「ホットドッグ買っといて」とか言ってたから、
(いいけど・・・なんだろう)と思いつつ、1階のPCを使おうと
座ったら、さっきまであの子が見てたページがそのまんまに
なってたんだけど。

いわゆるスレッド系の、日本で言えば2ちゃんねるみたいな、
そういう感じのサイトが開きっぱなしになっており、

で、「バレンタインデー・レシピ」ってスレッドなんですよ。


バレンタイン・レシピ その1

1.ミニトマトを縦割りにする。
2.切り口を上に向ける(と、ハート型)
3.爪楊枝を刺す。(刺す意味がわからん)
4.完成!


それレシピって言わないと思います。


バレンタイン・レシピ その2

1.スイカとパイナップルを用意する。
2.クッキーの型(ハート型)で双方中央を抜く。
3.スイカのハート型をパイナップルへ、
パイナップルのハートはスイカへはめる。
4.完成!

そもそも、スイカとパイナップルはあんまり
味合わないと思う。しかも、パイナップルの
真ん中くりぬいてるの・・・芯のところ笑
あほだ、こいつら。笑


そして、バレンタイン・レシピ その3

1.ホットドッグを縦割りにする。
(ここでいう、ホットドッグとはウィンナーのことです)
2.両端を持ってハート型を作り、爪楊枝で止める。
3.完成!




ジョシュア、ちょっと待て。汗




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練習音源。
2017-02-12 Sun 09:00
ゆにくあです。


・・・いろいろまだ考えてはいるんですが、


先月の26日に遊び弾きした、モーツァルトの
幻想曲ニ短調をきちんと練習しようと思って・・・。

今日は昼間割と静かだったので、
アップライトで録ってみました。。


アルペジオが下手すぎて、プレストも遅いし
がっかりですけど・・・肩があまり動かない
ので、難しかったです。それとミスタッチも
してますが、これ1回しか録音してないので。。

苦手なところ・・・原因は左手の運指が決まらず
いつも右往左往してしまうこと。パターンを考えて
いるけど、どれも弾きにくいです。

それと長調のところも苦手です。難しいですね。

先生に見ていただいていないので・・・
音間違いや休符・・・・休符よくわかってないので
たぶん待ちすぎて、窒息死しそうな感じのところも
あるような気がします。

あちこち変で・・・というかまだ2週間くらいしか
練習してないので、当然もう少し練習しますが
よいアドバイスがあったら教えてください。


それと、ペダル。音を立てずに踏むって出来なくて
なるべくハーフペダルにしてたのに・・・
どうしても音を拾ってしまうため、耳障りで
申し訳ないです。

ええと、それから終わり方。
これって2種類あるんですか??
冒頭のアルペジオに戻る演奏を聴いたことがあるので。
どっちが正解なんだろう・・・・









コメント、メール等のお返事が遅れていてすいません。
先に夕ご飯作らないといけないんで(笑)
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家族の反応。
2017-02-11 Sat 03:09
ゆにくあです。


また記事を書いている、ということは
ピアノを弾いてないということですが笑




それで、ここまでの数年間、毎日
自由時間を使ってピアノ以外のこと
何もしてなかった私ですが。

先月は割と、というか・・・だいぶ・・・・
ピアノ以外のことをしていました。
年末からの単発の仕事もあったし。

そして、最初は気づかなかった子供達も
そんな私を見て相当不思議に思ったらしく。

ショーン「ママ、ピアノ弾かないの?」

ゆにくあ「え。汗」

ショーン「ダメだよ、サボっちゃ」


普段は周りの世界に興味を示さず、
その場にいても全く状況を理解していない
ジョシュアですら、そっと寄って来て

「ところでママ。最後にピアノ弾いたのいつ?
今まで24時間弾いてたのに(注:弾いてません)
最近・・・・少し・・・・聴いてないなと思って」

とか気を遣った風に、調査してくるんです。

2時間くらいは弾いてるんですよ!
1日中弾いていないだけです。

メラニーはというと、「いいよね~ 大人は~。
好き勝手に出来てさ~。私だって物理嫌いだけど
選択の余地ないもんね~」とか言います。


旦那に至っては冗談っぽく、
しかし聞こえよがしに遠くから

「どうやら(ピアノは)一過性のものだったみたいだね。
何十万もかけたのに、たいした投資だよね~!笑」

とか・・・・

だから弾いてるってば!笑


ショーンは恐らく・・・うちはゲームがターン制なので
私が遊んでると自分が遊べないから監視してるん
だと思いますが、その監視がえらく厳しくてですね笑
毎日チェックするんです、私が何をしたか。

と思えば、この間何かを弾いていた時、

「今のところ、すごくいいね。鳥肌たっちゃった!」

とか、まさに・・・・アメと鞭。笑


これって、今まで「宿題やったの!」と言っていた
私に対する逆襲・・・でしょうか笑


***

話は違いますが、

先日(ブロ友さんたちが現在弾いていらっしゃるので)
平均律の中の特定の曲をシフさんが教えている映像
ないかなーと思って、あったら翻訳しようと思ってたん
ですが(結局なかったけど)で、その時に彼がバッハに
ついて語っている映像を少し観たんです。

長かったので、全部は観てませんが。

そこで知ったのは:

シフさん、子供のときからバッハが特に大好き。
毎日バッハを1時間くらい弾くことで一日が始まる。
突然、後期の難しいバッハ曲を弾く人がいるけれど、
全部飛ばして上から弾くのはだめ。それまでの作品を
下から弾くこと。しかし、インベンションよりむしろ、
初期の小作品の方がおすすめ(インベンションが悪い
という意味ではなく)。

など・・・

さらに子供の頃から「大の練習曲嫌い」だったそうで、
もちろん子供は基礎練習が絶対にはずせないけれど、
とはいえいわゆる練習曲は、ドライでつまらなくて
ある意味、こんなの弾くなんてみっともないから
プライドが許さないと子供の時思っていた

ともおっしゃっていて・・・笑


それでチェルニーを毛嫌いしているのか!
と納得しました。

(つーか、どんな子供だよ笑)


シフさんっておもしろい人だなぁと思う。
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スランプ。
2017-02-10 Fri 09:00
ゆにくあです。


今日は全体公開にするかどうか、すごく迷ったんですが・・・
気に障ると感じる方がいらしたら、本当にごめんなさい。


私のブログをずっと読んでくださっている方の中には、
「ゆにくあさん、レッスン記書かないの?」と思っている方が
いらっしゃるかもしれませんね。

レッスンについてブログで触れていないのは、
受けていないからです。

今年に入ってから、先生に1度も連絡をしていません。
どうしてなんだろうと、ずっと自分でもよくわからなくて
まるまる1か月考えました。

でも実は理由、はっきりしているんです。

・・・怠けていて先生に見ていただく曲がないからです。
ピアノが嫌になったわけではないので毎日弾いています。

弾いていますが・・・

なんというか、過去に弾いた曲をあれこれ弾いてみたり
だからといってさらに仕上げているわけでもなく・・・
あと、この間からモーツァルトばかり弾いていて
(それは好きだからですが・・・)

つまり弾き散らかしているだけです。
やるべきことは全くやっていません。

たとえば、

チェルニー40、1と2の譜読みをしておけと指示が出ています。
ですが、怠けていて楽譜を開いてもいません。

インベンションは今休憩中。と以前書きましたが、バッハは
集中力を要するところが面倒に感じて、私が勝手に休憩中と
して努力を避けているだけです。

恐らく、ことの発端はテンペストじゃないかと思います。
テンペストをレッスンで与えられた時は、もちろん
嬉しかったけど・・・やってみて、手に余ると思いました。

私はここまでピアノ、割と順調に進めてきた部類かなと
思いますが、テンペストは・・・私の実力からかけ離れて
いたと客観的にみて思います。3年かそこらで弾ける
曲ではない、というのは誰でも知っていることです。

今はレッスンで終わったので、過去の話ですが・・・
正直、終了時ですら自分で「まあこんなもんか」とすら
とても思えない出来だったので、ひどい消化不良を
起こしました。


たくさん練習したのに、結局弾けない。
というのは酷い気分です。

ですが、それは嘘です。自分は騙せません。

実際、出来ることを全てやったか、と自問自答
するならば、答えは「・・・してません」


半分のテンポでのスロー練習も、
片手練習も、
部分練習も、
後ろから区切って遡り練習も、

あまり真面目にやってない。



最初から無理と思って弾いていた気がします。
難しいところ、出来ないところはそのまま。
練習したのに弾けないんじゃなくて、
努力そのものが出来なかったから、
出来る進歩すらしなかった。みたいな。

とはいえ、常にストイックに生きるのも辛いし、
波があって当然だと思うけれど、要はそこが
転機になってリズムが狂ってしまったということ。


ま、終わったことをグダグダ言ってもあれなんで
それはいいとして、

今渡されている、リストの曲。「ソネット第104番」
知らない曲だったので、何も考えないで気軽に
楽譜受け取ったけど、これ。テンペスト以上に
私の技術レベルでは無理な上級曲です汗

今まで・・・

先生の出してくれる課題曲を弾いていれば
満足で楽しかったけど、去年くらいから・・・
なにかしっくりこない疑問が生まれました。

自分がピアノで何をしたいのかという疑問です。
このままいくと、曲だけがどんどん難しくなって
私はついていけそうにありません。

だけど、リストの曲に関しては、私がひとこと
「他の曲を弾きたいです」と言えば、すぐに
消滅する問題ですから、それはたいしたことでは
なく、問題は、私が「それじゃあ、どうしたいの」
という部分を自分でわかっていないということ。


それと・・・もうひとつ重要なことがあって。

それは先生が最近、お手本を見せてくれなく
なったということ。「わからないので、ちょっと
弾いてみてください」とお願いしても、手が痛いと
いう理由で断られます(「お大事に」と思います)。
あとは「私だって練習しないと弾けない」とか
または「私が弾くよりあなたが弾きなさい」とか笑 
それは・・・確かにそうですけど笑 


それと、細かいアーティキュレーションに
ついては教えてくれるけど、曲の表情付けに
ついては「あとはもっと表情をつけてね」で
「はい、よくできました」となってしまうところ。

まぁ、私が表情付け以前の段階で、
譜読み違いとか・・・音価ミスとかありすぎて
それをカバーするだけで、先生疲れ果てて
いるのかもしれないけれど。笑

正直・・・・それらがないとレッスン受けている
意義が半分以上消滅する気がするし、
なりより つまらない。と思うんですが・・・
どうでしょうか・・・。




とにかく。

繰り返しますが、
先生がうんぬん、曲がうんぬんではなく
それらは外部要因でしかなく、
最大の問題は、私が怠けていること。
そして、そんな自分が嫌なのに
そこから抜け出せないこと。


・・・甘えですね~


それで、話を戻しますが、
そういう「頑張れない時期」って誰にでも
ある(と思いたいし)と、しばらく放置して
流れに身を任せてたんですが、
そうこうしているうちにどんどん時間は
経過していて(汗

とりあえず、今まで大変お世話になった
大好きな先生に連絡すらしていないことが
凄く嫌で、連絡したいんだけど・・・電話して
どう説明したらいいのかわからなくて、しかし
時間がたてば経つほど、連絡しづらくなって
このままだと私レッスン辞めちゃうんじゃないか




・・・・と、悩んでいます。

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空飛ぶピアノ。
2017-02-08 Wed 19:00
ゆにくあです。


今日こそは、不滅の恋を観るつもりだったんですが。
なぜかランランが出てる映画、発見してしまったので。


しかし、(私が探しきれないだけかもしれないけど)
日本語でいくらサーチしてもヒットしなかったので、
あるいはこの映画、日本には行ってないのかも。


220px-Flyingmachine_poster.jpg


2011年、ポーランドの映画です。
ランランが・・・ランランとして出てました笑

非常に説明するのが難しい、ある意味
映像トリップ系の映画というか・・・観ないと
伝わらない世界なんですが。

頑張って説明するとですね。

まずメインのストーリー的には、仕事ばっかりで
ストレスいっぱいの母(ヘザー・グラハム)が
子供達を「マジックピアノ」というピアノコンサート
&3Dアニメの催しに連れて行くところから始まり、

当然ピアニストはランランですが、コンサート中は
ストップモーショーン・アニメの世界(観客視線)で、
アニメはセリフ一切なし。映像的にとても美しく、
バックにはランラン演奏のショパンエチュードが
次々と流れます。

アニメーションのストーリーをかいつまんで書くと
これは少女と父の話。父は町の小さな修理店を
営んでいましたが、経営難からとうとう店を手放し
てしまうところからお話は始まります。

そして、父はポーランドを離れて仕事のために
ロンドンへ、少女は叔母の家に預けられます。

父と離れ離れになり寂しい少女。父から届いた絵葉書
だけが彼女を支えます。叔母のうちには少女と歳の
近い少年が住んでいますが、少女は心を開きません。

そんなある日、少女は街外れのゴミ捨て場で古びた
楽器たちをみつけます。寂しくて、こぼれた少女の涙が
壊れたピアノの鍵盤をぬらすと、魔法のような出来事が。

といった感じの話です。

アニメの上映が終わると、観客は一斉に席を立ち
ホールはガランと静まり返ります。子供達(特に娘)は
ランランの大ファンで(まぁそうじゃないと話が進まない)、
終わったら楽屋へ一緒にサインをもらいに行こうと約束
していたのに、肝心の母親は携帯電話にかかりっきりで、
子供達が疎ましい。

そして母親が電話に夢中になっているうちに、子供達は
アニメーションの世界へ迷い込み、と、そこへステージに
戻ってきたランランが道案内役となり、ピアノを演奏しながら
子供達を追うんですが。


ランラン。


すっごい化粧してました。

lang lang


アイライン、はっきり入ってます。


それで、グランドピアノが空飛ぶマシーンになって
ヨーロッパを飛び回るんですが、飛んでる間の
セリフは8割方、強引に詰め込まれた・・・
「ショパン豆知識」です。

「ショパンってお絵かきが好きだったんだって!」

とか

「花びらの後ろには大砲が潜んでいる(のがショパン)」

とか、そういうやつです。


そして、後半のライブアクションになってからは
ヘザー・グラハムのセリフが・・・・とにかくすごくて、
例えば


「顔芸はもういいから」

とか。ホントに言っちゃうんですよ、本人に。


あと、へザーが突然自分の身の上話を始めて、
子供の頃はダンサーになりたくて・・・でもお金が・・・
とかなんとか、辛かった過去の話をしてるんだけど

その側でランランはガンガンにショパンエチュード
弾きながら、うんうん・・・みたいな感じで頷いてる
わけですが、私からみると

こいつ、絶対全然きいてねーよ!ww 


みたいな感じに見えるわけですよ。
だって、いつもの、例のあの感じで演奏してるので。


それで、ショパンがワルシャワに二度と戻れなかった
という豆知識を手に入れた子供達が、気の毒に思って
ワルシャワに向かうと、なぜかショパンの銅像とともに
石になるって強引なシーンがあって(自分で書いてて
何言ってんだ・・・と思いますが、本当にそういう筋がき)

そこでランランが、へザーに
「君の夢(ダンス)を子供たちに見せたら呪いが解ける」
みたいなこと言って (呪い?)

そうするとへザーは嫌そうに

「youtubeにアップしたら、ただじゃおかないわよ」

とかランランに脅しかけつつ、踊るんですけれど。
この踊りが・・・・・かなりひどい。
演出なのかなんなのか・・・。



それで、話の最後の方で、まぁ母と子供達が和解し
ランランと娘が「黒鍵のエチュード」を連弾するシーンが
あるんですが、演奏は結構素敵で「いいじゃん~」って
思うんだけど、ふとその後ろにいるへザーが視界に入り、
みると、ゴーゴーダンスみたいなの踊ってるんです。


黒鍵のエチュードで踊るって発想、普通ないと思う。


とにかく、演技はさておき演奏は素晴らしく、
映画全編通して実はショパンが主役で、例えば
・・・木枯らしのイントロが聴こえてくると、

「あ、やばい。嵐が来るじゃん!」ってわかる感覚。

そういうのが面白かった。ランランの手元も時々
大写しになるし、音楽が大切にされている映画。
そして、なかなか変わった趣向の映画。


日本でも観られるといいのにな~














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ピアノソナタ第26番 「告別」 変ホ長調 op.81a
2017-02-08 Wed 13:07
Part 5. Sonata in E Flat, opus 81a no. 26 'Les Adieux'

第6回目プログラムの最後の曲「ピアノソナタ第26番 「告別」 変ホ長調 op.81a」のレクチャー内容です。講義時間は27分です。ドイツ語には全く詳しくないですが、第1楽章の原題Lebewohlという言葉には、また逢えるかわからない・再会を約束されていないお別れといったニュアンスがあり、なおかつ誰か特定の人に対して1対1のお別れの時に使う言葉なんだそうです。それと、ルドルフ大公について調べていた時に読んだ、彼宛のベートーベンの手紙が、まさに友達という感じの距離感で素敵だなぁと思いました。さておき、途中で何度も何度もピアノを弾きながら説明されているので、出来れば音源を聴いてもらえるとわかりやすいと思います。





「嬰ヘ長調のop.78はベートーベンにとって、とても大切なソナタでした。そして次にご紹介するop.81aは”les adieux”と呼ばれますが、さらに良い響きを持つのがドイツ語原題の”Lebewohl”です。これは非常に重要な作品で、ベートーベンのお気に入りの生徒で親友でもあったルドルフ大公のために書かれました。ルドルフ大公はとても能力の高い音楽家・作曲家で、それはベートーベンがこれまでに彼のために書いた数々の名曲を見れば判断出来ることですね。(演奏)ピアノ三重奏曲第7番「大公」または、最後のバイオリンソナタ。(第10番の冒頭演奏)あとはミサ・ソレムニス(荘厳ミサ曲)ですとか・・・いくつかありますが、いずれにしても評価していない人のために作曲などしないと思います。そしてこのソナタが書かれた1809年。ナポレオン軍がウィーンへ進駐し、ローマ帝国皇帝フランツ1世と共に、ルドルフ大公もまた亡命せねばなりませんでした。それから、このソナタが書かれた日付は1809年5月4日と正確にわかっています。」

「さて。この作品はベートーベンソナタの中で唯一の表題音楽です。しかし、そうったことを抜きにしても素晴らしい音楽ですから、タイトルに縛られすぎない方が良いとは思います。例えば交響曲第6番の・・・(演奏)ベートーベンはここで”Mehr ausdruck der empfindung als malerei“-絵画的表現というよりもむしろ、音に感情をのせて-と発言しましたが、つまりそれが交響曲第6番に対する彼からの指示だったわけですね。そしてそのモットーは、この作品にも当てはまるのではないかなと思います。・・・とはいえ、この作品の背景には物語があります。それは空想ごとではなく実際に起こったお話です。そして、それぞれの楽章にはタイトルがつけられていますね。第1楽章は「Das Lebewohl」またはFarewell(お別れ)、「Abwesenheit」またはabsence(不在)とつけられた第2楽章、そして「Das Wiedersehen」あるいはreturn(再会)とつけられた最終楽章です。」

「このモチーフから始まり(演奏)3つの間隔。それは2台のホルンが奏でているように・・・これは、明らかにホルンの音色ですね。そして彼は"Le-be-wohl"という風に表現しています(ベートーベンが最初の3音の上にそう書いたそうです)・・・さよなら。(節をつけて演奏)しかしこの最後の音で何が起こるかというと、バスが偽終止と共に加わります。(演奏)本当に美しいですね・・・。ベートーベンが、がっかりとして悲しんでいる様子がうかがえます。なぜなら、普通ならこういう感じです。(演奏)ですがそうするかわりに・・・(演奏)としたわけですから。そして・・・(演奏)なぜどうして、といった風に。こういった音楽には前例があり、ヨハン・セバスティアン・バッハの初期の作品のひとつが、このように始まります・・・(演奏)カプリッチョ『最愛の兄の旅立ちに寄せて』。ベートーベンはこの曲を知っていたんでしょうか?親愛な誰かの旅立ちと共に、その身を案じている・・・という物語です。とにかく、最初のレーベヴォールのあと、既にバスは半音階的な下降をみせます。こういったものを18世紀にはパソス・デ・リウスクルスと呼びました。(演奏)

悲劇や危険の到来を知らせるような、重いパッセージですね。(演奏)またレーベヴォールがあり・・・(演奏)ですが、彼がここでどう進めるか聴いてください。(演奏)ここから本当の意味で導入部が始まります。『熱情』とは違い、ゆったりとした序奏部分が主題へと導いていきます。まずはじめに、この『レーベヴォール』・・・別れのモチーフは様々な変化と共に、楽章全体に渡って出てきます。そしてこの大いなる期待感の後、アレグロが幕を開けます。(演奏)新しい主題のようですが、バスは・・・(演奏)『レーベヴォール』の転回形ですね。(演奏)次はバスが・・・(演奏)そしてソプラノが・・・(演奏)転回形です。そして全てはここから来ていて(レーベヴォールのフレーズ演奏)短調で演奏すると・・・(演奏)・・・ここで再度・・・(演奏)と、今度はその縮小形・・・より小さな音価で。(演奏)そして導入部の反復です。ということで、この楽章が表現しているのは、ベートーベンの願いです。行かないでくれと、引き止めたい想いですね。」

「それから展開部です。(演奏)まず『レーベヴォール』があって(演奏)バスには・・・(演奏)アレグロから来ている8分音符の動機です。とても興味深いですね。極めてコンパクトに、これら全てが短期間で起こりますから。(演奏)それからまたしても、それは解体されていきます。こうあったところから・・・(演奏)最後には、2音だけが残されます。(演奏)最も小さな『元素』までバラバラに出来るなんて。(演奏)そして反復し始めたところで、私達は突然また頭に戻っていることに気づきます。(演奏)そしてその後、非常に詩的なコーダがあり。(演奏)音楽全体がレーベヴォール動機の中に漂っていますね。音楽の詩的イメージについては、あまりあれこれと憶測を述べたくありませんけれど、このケースにおいては許容されるかなと思います。なぜなら、大公は飛行機で旅をしたわけではありませんから。またそれは列車でもなく・・・馬車の旅です。私には蹄の音が聴こえます・・・(演奏)そして、ここはまた素晴らしいですね。まるで一方がそこへ佇む中、馬車はどんどんと遠ざかっていくかのようです・・・丘を越えて。それからここでベートーベンは、ほぼ不可能な注文を出します。(演奏)長い『ド』の上にあるクレッシェンドです。しかしピアノで(単音に)クレッシェンドは無理ですね・・・あくまで彼はそう求めていますけれど笑 ですから、やれることと言えば・・・ここで立ち上がるくらいです、たぶん笑 でもそれでは少し安っぽい演出ですね。(演奏)・・・そして、大公は行ってしまいました。」

「第2楽章は「Abwesenheit」不在です。素晴らしいメランコリーの描写です・・・その想い・・・(演奏)ということで、ハ短調ですね。歩く速度の楽章ですから、またしても遅すぎないように。(演奏)そしてハ短調の曲ですけれど、ベートーベンはハ短調コードから即座に離れますから、それで私達を不安な気持ちにさせるわけです。それと共に、ご想像できるかと思いますが・・・この動機・・・(演奏)wo_bist_du・・・『・・・君はどこに?』 私はいつもこの問いかけを想像するんです。(演奏)語りかけるように、叙情的に。(演奏)ほとんどバロック音楽のようですね・・・すごくそういう感じがします。バッハやヘンデルのレチタティーヴォのようですね。そしてこの後・・・これは非常に短い楽章で、ワルトシュタインや熱情と同じく各楽章ごとの締めはなく、このまま最終楽章へと導いていきます。主要部分の反復が2回あり・・・その後やっとドミナントへ到達します。ハ短調・・・」

(演奏)

「ということで、このメランコリックな第2楽章『不在』が変化し、突然の"Return(再会)"・・・大公が戻ってきます。そしてどういうわけか・・・『時』は圧縮され一瞬の出来事のように、全第2楽章『不在』はほんの2分程度しかかかりません。しかし、ここで表現されているのは数か月、数年にも渡る不在です。ですが大切なのは、この信じられないほどの喜び。ふたりの友が分かち合う喜びです。これは、ふたりの人間の間にある非常に深い友情であり、とても感動的で・・・芝居がかったところなど、ひとつも見あたりません。それにしてもベートーベンはこの『喜び』をこれ以上ない簡潔さで表現しています。それはトニック、ドミナント、トニック・・・(演奏)6小節です。それから左手へ移り・・・(演奏)そして3つ目の変奏はオーケストラ全体で!(演奏)」

「あと、みなさんこちらはご存知ですね(『皇帝』をちょっと演奏)これもまた、ルドルフ大公に捧げられた曲です。”les adieux”(第26番)の数年前のことですね、ピアノ協奏曲『皇帝』は。そしてこれ(第26番)はオーケストラパートのないピアノ協奏曲のようなものだと思います・・・彼らがいなくて本当によかった(と冗談を口早に言って演奏)そしてここは、まるでウィーンの教会の鐘という鐘が全て鳴り響いているかのように。(演奏)これはちょっとした変奏で・・・(演奏)それから、この”iambic” 強弱格ですね。(演奏)またしても、こうした音形は『皇帝』協奏曲から、そのままそっくり抜け出してきたかのようです。」

「それから、極めて短い展開部が続き・・・(演奏)たった3音。興味深いのが・・・この展開部は、ずっと『ピアニッシモ周辺』で演奏されるということです。(演奏)ここは美しいですね・・・彼は声部のバランスを変えています。上声部にあったものが、低音域で・・・(演奏)このたった3音を使って、とても複雑な通模倣様式であるディミニューションやストレッタを用いています。(演奏)これはサブドミナント上での再現部にみせかけた部分ですが、そこから2小節すぎると・・・(演奏)と、ここで本当の再現部があらわれるわけですね。では、この展開部全体を演奏してみましょう。ほんの1分くらいですから、おしゃべりはなしで。(演奏)・・・とこれで作品的には終わりですが、このソナタはとっても詩的な作品ですので・・・(演奏)『エピローグ』へと続きます・・・コーダです。(演奏)メノ アレグロですから、ゆっくり目の動きですね。そしてそれは、このソナタ全体の冒頭『レーベヴォール』を思い起こさせますね。ホルンが聴こえてきますので。(演奏)それから変奏・・・(演奏)もうひとつの変奏があって・・・(演奏)そしてこう終わります・・・(演奏)」


別窓 | シフのレクチャーコンサート。 | コメント:0 |
グランドピアノ(2013)
2017-02-07 Tue 16:00
ゆにくあです。


いいこと思いついたんですよ、昨日。



シフさんの「テレーゼ」解説聞いてたら、
ベートーベンの私生活に興味が沸いたし

(そういえば、そういう映画があった気がする)

と思って調べたら、ああ そうそう。これこれ。
知ってたけど観てない作品、

「Immortal Beloved(不滅の恋 ベートーベン)」


ちょっとね~、ゲイリー・オールドマンは
かっこいいし好きですが

(この役に合わなくない?) とか

(なんかB級っぽい・・・) とか

それと、しばらく見ないな~と思ってた矢先に
彼が出てた、タイトル忘れたけど・・・
林の中でギャーギャー言うようなサスペンス。
とにかく、わけわからん映画な上に、演技が
「どうしちゃったの??」って感じだったので、
私の中で彼の印象が・・・(汗

それはさておき、

「作曲家の出てくる映画」をざっと調べたら、
結構たくさんあるんですね。

まぁ、中には何度も観た事あるやつとかね。
超どーでもよさげなのも混ざってましたが。

それで昨日、

試しに片っ端から観てみようかな、
面白かったらブログにレビューを書こうかなとか
そう思いついたわけです。もちろん、少しずつ。


そして今日。

Immortal Belovedの方は、TVでオーダーすれば
いつでも観ることが出来ることを確認し、しかし

(でもなー なんか重そう。
もっと軽いのがいいかな。今日は。)


と思って、見つけた他の映画の話。

grand piano



めっちゃ軽そうww

そして、星の数が2個半なのが気になる。


私のブログを最初の方から読んだことがある方は
ご存知かと思いますが、ずっと前にビデオ屋さんで
バイトしてたんですよ、私。で仕事してると、やはり
お客さんから「この映画どうだった?」とか・・・
「○○みたいな映画ない?」とか聞かれるので、
一応DVDになった映画は全て観てたんですけど。


この映画・・・知らない笑


というか、2013年だからもう仕事辞めた後かも。
にしても、噂にすらなっていない。もしかしたら
劇場行かずにDVD直行だったのかも? 

わかりませんが。

ということで一抹の不安を覚えつつ、
(でも今日は、むしろバカっぽい映画が観たい)
と思ってさっき観てみましたが。


予想を遥かに上回る映画でした。



とりあえず、観たことない人いるでしょうから
細かいことは書きませんが、筋としては


「過去の大失敗が元で、ステージ恐怖症となり
何年もスポットライトを避けていた天才ピアニストが
なんだか知らないけど舞台に復帰することにしたら、
『1音でも間違えたら殺す』と殺人宣告が!!」

みたいな、ね。


もうそこからして・・・・

ですが、まぁそれはいいとして、何の前情報も入れず
観始めたら、どうやら主役はロード・オブ・ザ・リングの
彼。ホビットくん。イライジャなんとか。

余談ですが、彼はロード・オブ~のイメージが固定される
ことを嫌がって、ガツガツといろんな役に挑戦してましたが
直後に出てたサイコ・キラーっぽい映画とか、演技は割と
よかったけど(あーこの人、前途多難だわ)って思ってた。
その彼が主役なわけ。

なので、開始後5秒で悪い予感。


こっから先、これから観ようというツワモノは読まないで
ください。ネタばれします。(ですが映画おすすめしません)





もうね、


とにかく作りが雑なんですよ。
脚本、演出、演技の全てが。



そして、ピアノを弾く人、クラオタからみると
マジですか。と言いたくなるポイントが・・・
というか、そういうポイントだけで構成されて
います。

だって、コンサートのまっただ中にピアニストが
真っ青な顔して舞台から走り去ったりするん
ですよ。突然、立ったり座ったり笑

けど、てっきりスタント使うと思ったのに
見た感じ役者が弾いてるっぽいのが驚きです。

まぁ普段からピアニストの演奏する姿を見慣れて
いると、姿勢や体の動きそのものが違うので・・・
なんか奇妙な絵です。なんつーか、背中から
指先が1つの線で繋がっていないシルエット。

でもすごいよね、えらい~。
そうとう練習したんじゃないの? と思う。


で、脚本に関して言いたいことたくさんあるけど、
私が一番爆笑したのは、


要はお話上、
「この曲弾かないとぶっ殺す!!!」って
超絶技巧曲設定の曲があって、けれど

主人公のピアニストにとってはトラウマ曲だから、
ステージ上がる前に手渡された楽譜の束の中に
その曲の楽譜が紛れ込んでいるのを見て、
迷わず捨てるわけですよ。

嫌がらせしやがって、的に。

そしたら、射撃手(犯人)がそれを弾けと言いだして


あ。

その前に、コンサート始まるとほぼ同時に、この
「脅迫」がスタートするんですが、ピアニストとは
ブルートゥース イヤホンを通じて話してて、


しかも演奏中、ずっと犯人が話しかけてきて、
ピアニストくんも律儀に返事して・・・みたいな
極めて寒い状況。私なら無視します。

つーか、「嫁殺すぞ、こら!」って脅しなんだけど


1音間違えても殺すし、弾かなくても殺すって
結局死ぬんじゃん。的な。



で、ピアニストくんは何とかSOSを出そうと、
ステージ上から知り合いに携帯で電話したり。

プロ意識ゼロ。


それで、プロ意識のないピアニストくんが
演奏しながら携帯メールしたりしたせいで、
人がばったばった死んでいく中、

その特別なむずい曲を弾けと言われた瞬間
「弾けないよ! 5年も前の曲だ」みたいなこと
言うんだけど、この台詞だけだね。共感できるのは。

ほんとだよ。5年前の曲で、しかもトラウマだから
ずっと弾いてなかった超絶技巧曲なんだったら、
そんな即リクで弾けないです。


これだからピアノ弾かない人は・・・・。


それで、まぁバタバタとストーリーが雑に展開し、
あっと言う間にコンサートのインターバル。

控え室に駆け込んだピアニストくんが、ネットに
アクセス始めたので、

(あそうか、ネットで楽譜引き出して、IPADだか
なんだかわからんが、それを置いて弾くのね!)

と思ったら、違う。


いきなり音源聴きながら、なにやらパンフの上に
なぐり書き的にメモを取っている。


設定では、世界にふたりしか弾ける人がいなくて
そのうちの1人は死んでて、彼が可能性を残した
最後のひとり。でも前にチャレンジした時は大ミス。
だとしたら、その音源は誰が弾いているんでしょう。


ま、いいや。

それで彼のメモが一瞬映るので、みると、
ランダムに1小節分だけ音符が書いてあったり、
真ん中にはでっかく FF と書いて丸ついてたり。
そういう記号が、5つくらい散らばっている。


え? 


と思ったら、開演ブザーが鳴って、ハッとした
ピアニストくんが、そのラクガキパンフレットを
がしっと鷲掴みにして走り去るんだけど



・・・それ・・・・見て弾くの? 
フォルテシモとしか書いてないじゃん。




で、犯人にとって風向きが悪くなってきた時
共犯者が「もういいから逃げよう」的なことを
提案して、そしたら

「アホか! 3年も前から準備してたんだぞ!」
って言うんだけど、それ聞いて私は


(3年もあったんなら、自分で練習しろ!)

と思いました。


とにかく映画終わったら、どっと疲れが・・・
なんでよりによってこれ選んだんだ、私。


明日こそ、ベートーベンのやつ観てみます。

別窓 | 映画の話。 | コメント:6 |
ピアノソナタ第25番 「かっこう」 ト長調 op.79
2017-02-07 Tue 06:28
Part 4. Sonata in G Major, opus 79 no. 25

第6回目プログラムより「ピアノソナタ第25番 「かっこう」 ト長調 op.79」のレクチャー内容です。なんと講義時間はたった6分、大胆な時間配分です。そしてこんなにも短いのに、チェルニーをからかうことは忘れていませんし、さりげなく『この作品は休憩』と言ってのけるシフさん笑 さておき、途中で何度も何度もピアノを弾きながら説明されているので、出来れば音源を聴いてもらえるとわかりやすいと思います。





「次の作品について、ほんの数言申し上げたいと思います。こちらは(他のソナタと比べると)気持ち軽めの作品ですが・・・ドナルド・フランシス・トーヴィーも言っていたように、これは『シェークスピアがハムレットとリア王の間に書いた小作品のようなもの』ですね。ベートーベンにも少し休憩が必要だったでしょうし、そこで彼はこのソナチネと呼ばれるop.79を書きました。あるいは子供や若い生徒向けに書かれたのかもしれません。ですが誤解を招く発言は避けたいと思います・・・演奏するのは簡単でないですから、特に第1楽章は。とはいえもちろん、音楽好きの子供たちにはop.49ソナタと合わせて、大いに弾いてみるべきだとお勧めします。素晴らしい音楽を知る良いきっかけとなりますし、チェルニー練習曲よりも、こちらを弾いた方が断然良いと思います笑」

「では少し演奏してみましょう。こんな風に始まりますよ。(演奏)”Presto alla tedesca” つまり極めて速く、そして alla tedescaは『ドイツ風の踊り』という意味です。みなさんご存知かと思いますが、ベートーベン弦楽四重奏に・・・(演奏)・・・op.130(第13番)、この作品にもアラ・テデスカというト長調の楽章があります(第4楽章)。ドイツのダンス、速めのワルツといった感じです。そしてハイドンの作品にも・・・(演奏)ドイツの踊りがありますね(Hob. IX:12)。それからこのソナタは『かっこう』とも呼ばれており、なぜなら展開部をちょっとお聴かせすると・・・(演奏)かっこうがいるのが聴こえますね。そしてとても美しいのが、このパッセージをフォルテはペダルなし、p(ピアノ)は新しくペダルをつけて・・・(演奏)このハーモニーの変化・・・(演奏)このソナタを好んだ、シューベルト作品を彷彿させるところがあちこちにあると思います。それは単に真似したということではなく、常にシューベルトの心の片隅にはベートーベンの音楽があったということですね。」

「そして第2楽章・・・(演奏)ベートーベンはヴェニスを訪れたことがありません。しかし、これは明らかに”gondoliera”ゴンドラの歌です。私達はこういった曲をメンデルスゾーンの『無言歌集』等で既に聴いたことがあります・・・2曲ありますね。そして恐らく、ベートーベンは(ゴンドラのテーマの存在を)詩集などを通じて知っていたんでしょうね。もしくはカナレットの絵画ですとか。ということでバスでは船頭が漕いでいて、と共に2つの声部・・・ふたりの恋人たちが歌っています。(演奏)そして最終楽章もまた、軽めの曲です。(演奏)ハーモニーに注目してみると・・・(演奏)そして4年後・・・これを移調させてみると・・・(演奏)op.109(ソナタ第30番)の冒頭となるわけです。ということで、偶然の産物ではないということです。さて、この最終楽章は2つのエピソードから成るロンド形式で・・・(最後を抜き出し演奏)・・・と気化し終わります。」

Canaletto.jpg
The Grand Canal in Venice from Palazzo Flangini to Campo San Marcuola by Canaletto
Reference: https://commons.wikimedia.org/wiki/Giovanni_Antonio_Canal
別窓 | シフのレクチャーコンサート。 | コメント:2 |
ピアノソナタ第24番 嬰ヘ長調 op.78
2017-02-06 Mon 20:00
Part 3. Sonata in F Sharp Major, opus 78 no. 24

第6回目プログラムより「ピアノソナタ第24番 嬰ヘ長調 op.78」のレクチャー内容です。講義時間はあっさりと15分程度です。途中で何度も何度もピアノを弾きながら説明されているので、出来れば音源を聴いてもらえるとわかりやすいと思います。



「ピアノソナタの最高傑作(第23番)を書き上げたベートーベンですが、そこから次の作品まで実に4年ものギャップがあります。(この当時)個人的な難しい問題もいろいろとあり、特に健康面では失われていく聴力による問題が増える一方でした。しかし、にも関わらず4年後の1809年、彼は素晴らしく真新しいソナタ「嬰ヘ長調 op.78」を発表します。そして、この作品はテレーゼ・フォン・ブルンスヴィック伯爵令嬢に捧げらましたが『彼女こそがベートーベンにとって、不滅の恋人だったのではないか』という多くの推測がこれまでに立てられてきました。誰か別の方だった可能性もありますけれどね。しかしいずれにしても作品をみれば、このソナタが『愛の告白』であるということは明白だと思います。この作品は彼のソナタの中で最も叙情的で、また(先ほどお聴きいただいた)ひとつ前のソナタとは極めて対照的な曲想をもって書かれています。こんなにも異なるふたつのソナタ(熱情とテリーゼ)が同じペンから生まれたとは想像しがたいですよね。」

「嬰ヘ長調という調性は既に極めて独特です。なぜなら『♯6つに変化記号6つ』ですから、現代の感覚でも複雑な調性です。それから当時の出版社は、アマチュア演奏家達に新しい作品をどんどん売り込むことで頭がいっぱいでした。そして、多くのアマチュア演奏家は♯が6つもついている作品は少し手に余るなと思っていたと思います。ところでハイドン作曲の美しい弦楽四重奏曲があって・・・(ラルゴの出だし演奏)op.76の5番です。この緩徐楽章が嬰ヘ長調なのですが、ドイツ語ではこれを”Friedhof quartet”-墓場の四重奏と呼ぶんですよ・・・(ダブルシャープのことを指して)十字架がとてもたくさん出てくるので。(会場大うけ・・・)」

「ということで、このベートーベンソナタは極めて非凡。また、周りの評価を気にして作曲した作品ではありません。そもそもop.54のようなコンサート・ピースではありませんし、そこまで認知度も高くなく、聴衆受けもそこそこの作品ですが、ベートーベン自身はこの作品を大変気に入っていました。彼がとても怒って『なぜみんな嬰ハ短調ばかり好むんだ!』と発言した、と以前お話しましたが(演奏)・・・覚えていますか、これですね・・・そして私はこの作品を『月光ソナタ』とは呼びません。月光の曲ではなく嬰ハ短調ソナタですから。それで、ある時ベートーベンは『みんな私の嬰ハ短調ソナタのことばかり大騒ぎするが、嬰ヘ長調の方がよっぽど素晴らしい作品だ』と言ったそうです。」

「アダージョと記された4小節(序奏)から始まり・・・(演奏)ファ♯の上にペダルポイントがあって、それからこの素晴らしい旋律が入ってきます(演奏)ですが、私達が(この4小節を)また耳にすることはありません。本当に素晴らしい美しさで、私なら喜んでまた聴きますけれど・・・その機会は訪れませんので。それから彼は、美しい『アレグロ マ ノン トロッポ』を開始します。(演奏)『熱情』とは違い、提示部が両パートとも繰り返されます。そして大きなドラマ展開こそありませんが極めて叙情的。喜びと優しさに溢れ、ベートーベンの違った一面をみせてくれます。ベートーベンは単に『熱情』『エロイカ』『交響曲第5番』といった風な曲のみではなく、優しさや叙情性も表現することが出来る作曲家だったということですね。そして、私達はこのことを決して忘れてはいけないと思います。それから、これは非常に野心を感じるソナタですね。なぜならこれら各々の性質・パーツは非常に易々と繋げられているように見え・・・そしてリズム的には4分音符の動きです。(演奏)それから8分音符の動機が出てきて(演奏)そして3連符。(演奏)動機的には、私が今止まったと同時に・・・(演奏)常にこの3音です。(演奏)そして序奏のアダージョも・・・(3音強調して演奏)序奏は私たちに(この動機の)『分子』を与えるんですね・・・のちに重要になってくる部分の『原子要素』を。」

「それでは展開部へ進んでみましょう。(演奏)私には、これがベートーベンの書いた中で最も美しい旋律のひとつに思えますし、なぜ彼がこのソナタに特別な親しみを持ったのかということがとてもよく理解出来ます。みなさんにも『熱情』の後のこの時期が『後期』との境界線に位置するということが感じられると思います。全ては徐々に濃縮され、AからBへ移るために彼が必要とする時間はどんどん短縮されていきます。それから、この展開部全体が主要リズムによって奏でられていますね。(演奏)常にこの、タン パパン タン パパン。ですがまたしてもオーケストラの異なる楽器を割り当てるがごとく、それぞれ異なった音域を使っています。」

「さて。このソナタの第2楽章は最終楽章でもあります。2楽章構成のソナタということですね。そしてそれは意図的なものです。未完成なソナタというわけではなく・・・つまりシューベルトのロ短調 交響曲(7番)のような感じとは違い、ベートーベンはこの作品が2楽章構成であることを望みました。そしてこの楽章は、悲劇あるいは叙情的ということですらなく、しかしユーモアのある楽章です。こんな風に・・・(演奏)ええと・・・もちろんご存知の・・・(演奏)そして彼もこれを良く知っていて・・・変奏曲も書いていますし(ルール・ブリタニアによる5つの変奏曲)・・・どちらが先に書かれたのか私は詳しく知りませんけれど・・・偶然の一致ではないということですね。(演奏)常に短い動機の中で繰り広げられる質問と回答。そして次に・・・(演奏)と、これらはほんの2つの音をスラーで繋げたものですね。これらは厳密なアーティキュレーションで演奏しましょう・・・むしろ誇張するくらいの感じで。そんなわけで私はわざと短めに弾いていますが、私の思いつきではないですよ。なぜならシュナーベルはこのソナタを誰よりも上手に弾きますが、その彼もやっていますので笑 (演奏)

常にこの2音から構成される挿入があり(演奏)ですから、ソプラノから最初の2音を抜き出して(音価を)縮小してみると、こうなるわけです。(演奏)それが続き・・・(演奏)それから今度は反進行しているので、上昇音形だったものが・・・(演奏)今度は下降します。(演奏)・・・そして嬰ニ長調まで来ました。なんておかしな調でしょう。(演奏)それからさらに新しいモチーフとして、ご存知『マンハイム・ロケット』 (いくつか例を演奏)ということで・・・(演奏)この大小、長調・短調といった素晴らしい変化・・・(演奏)いつも私達が予想もしなかった不協和音が出てきて、それから2音のスラーで挿入されていたモチーフは徐々に長くなり、このカデンツァに至ります。(演奏)ソナタ形式とロンド形式のコンビネーションですね。ここではサブドミナントで主題が現れ・・・などなど。そして最終の・・・(演奏)今度は別の音域です。(演奏)それとレガート。(演奏)クエスチョンマークがあって・・・(演奏)もうひとつ・・・(演奏)そして最後は・・・(最後まで演奏)非常に愉快で風変わり、なおかつとてもオリジナル。予想通りという部分がまるでない作品ですね。」

別窓 | シフのレクチャーコンサート。 | コメント:0 |
ピアノソナタ第23番 「熱情」 ヘ短調 op.57
2017-02-06 Mon 08:00
Part 2. Sonata in F Minor, opus 57 no. 23 'Appassionata'


第6回目プログラムより「ピアノソナタ第23番 「熱情」 ヘ短調 op.57」のレクチャー内容です。講義時間45分程度です。この曲はもちろん、ベートーベンに限らずショパンでもなんでも、強い印象を受ける曲ほどナポリの6度のハーモニーを分散和音など、いろいろな形で効果的に使っていますね。さておき、途中で何度も何度もピアノを弾きながら説明されているので、出来れば音源を聴いてもらえるとわかりやすいと思います。




「次にご紹介するのは、ヘ短調ソナタです。この曲は、単に『ベートーベンの』ということではなく、西洋音楽全体でみても不朽の大傑作と言える音楽のひとつですね。そしてもちろん、非常に有名な作品ですが・・・なにより私は、この曲を耳にする度・演奏する度に深い感動を覚え、なんて素晴らしいんだろうと感嘆せずにはいられないのです。それから『熱情』というタイトルは作曲家によるものではなく、出版社による銘々ですけれど、これにベートーベンも特に異論を唱えていません。私としては・・・むしろ『sonata tragica 悲劇』と呼びたい気分ですけれど・・・なぜなら、本当にギリシャ悲話のようですので。悲劇的な終焉と共に、そこにカタルシス・・・『夜明け』的な結末はありません。途中、真ん中の楽章で少しだけ日が差しますけれど、変奏と共に変ニ長調でね。」

「今回も作曲コンセプトが素晴らしく、ふたつの巨大な楽章がヘ短調であって、その間には変奏曲形式の変ニ長調が置かれています。そしてこの楽曲は全体がひとつとして作曲されました。第2、第3楽章と止まらずに演奏します。それと、ベートーベンがワルトシュタインでも既に使ったテクニックのように、第2楽章の途中から最終楽章へと緩やかに繋がっていきます。ヘ短調はベートーベンが既に熟知している調性です・・・なぜなら一番最初のソナタが・・・(第1番の冒頭演奏)つまり(ヘ短調でのピアノソナタは)2つあって、そのうちのひとつが1974~1975年頃に書かれたピアノソナタ第1番ですね。そして何度も話題に出ていますが、なぜなら最初のソナタですし、この『マンハイム・ロケット』モチーフで始まりますから(演奏)マンハイム・スクールの作曲家によって生み出された手法でしたね。」

「そしてこのソナタは・・・(それとは)とても違った始まり方をします。ベートーベンの作曲したピアノソナタの中でも特に威風堂々とした作品のひとつですが、にもかかわらずピアニッシモで始まります。興味をそそられませんか・・・彼のソナタが多くの場合ピアニッシモで始まるということに。実はフォルテシモで始まるソナタはひとつしか思い当たりません・・・ハンマークラヴィーアです。(出だしだけ演奏)これだけですね。そしてフォルテで始まるソナタもたくさんありますが、ほとんどのソナタはピアニッシモで開始します。そしてミステリオーゾ・・・」

(演奏)

「とこれが、提示部です。途中で止まりたくなくて・・・遮ってしまうのは残念に思いますから。それでは、この提示部の詳細をいくつかみていきましょう。とても重要なのが、このユニゾンによる冒頭部分ですが、2つの声部を隔てる距離は2オクターブあります。(演奏)そうすることにより、それはより危険な印象を与えるのです。そこにある強烈な危機感。何か・・・とても酷いことがこれから起こる予感、といった風に。(演奏)ここのトリルは、まるで風に巻き上げられる枯葉のようですね。(演奏)全て白紙で、それは常に疑問符で終わるんです。ベートーベンはここに『アレグロ アッサイ』と記していますので、非常に生き生きと、ということになりますが、拍子は、8分の12ですから・・・タタタ タタタ タタタ タタタ・・・ですね。私はいつもこのソナタを演奏する時、1時間くらい前から心の片隅では既に ラタタタ タタタ タタタ タタタと脈打っているんです。」

「さて、ほとんどの方がこの作品をよくご存知かと思います。にもかかわらず・・・試すようなことはしたくないんですが笑・・・私がこの曲を歌ってみてくれませんかと尋ねると、たいてい ♪タータター タータター タータター♪・・・・多くの方が(この曲の)リズムを知りませんけれど、実はとてもシャープなリズムなんです。(左で拍を刻みながら演奏)ということで、曲の冒頭部分は前奏曲的位置づけではなく、ここでこう開始しますが(演奏)この時点で(音楽は)既に前から引き継がれています。ですから、この作品は一番最初の音から始まるということです。・・・当たり前のことのように思えますが、そう聴こえないことが多いので。この楽章は、最も解釈の難しいピアノ音楽のひとつだと思います。総体的に捉えなければなりませんね・・・異なる性質のものを総体的に。」

「と、それが8分の12拍子のリズムです。そして14小節目に差し掛かると・・・何かが起こります。(演奏)このモチーフ・・・この『運命』のモチーフです。(演奏)ですが、これは『運命の宣告』ではなく・・・遥か彼方からやってきて・・・(演奏)ということで、まだ始まったばかりですから、ここで恐らくナポリタンのハーモニーについて触れておいた方が良いですね。それは(演奏)半音上がった音・・・それがこう呼ばれます・・・(演奏)ナポリの6度です。このソナタ全体を通して非常に特徴的な部分です。(演奏)・・・ここで半音上がり(演奏)ベートーベンは、ワルトシュタインでのアイディアを反転させ(ワルトシュタインを少し演奏)・・・全音下がり・・・(ハーモニーの推移を演奏)そしてここでは、その反対です。(演奏)」

「それから・・・(演奏)ポコ リタルダンド、そしてこの初めての火山噴火です。(演奏)そして、オーケストラ全体による噴出。(演奏)この部分ですら、コントロール不可能ではありません。シンコペーションを用いた8分の12拍子です。ラタタタ タタタ タタタ タタタ・・・(演奏)123・・(と休符を数えてから演奏)ここでベートーベンはバスを半音下げ、私達を全く別の地方へと誘います。(演奏)この繰り返される8分音符の連打が聴こえますか?(演奏)これが音楽による至高の扇動感です。そして・・・(演奏)嵐はややおさまりを見せ・・・(演奏)しかし、8分の12拍子の拍感は健在ですね(演奏)それから、この第2主題(演奏)真新しいテーマのように聴こえますけれど、主要主題と密接な関係を持っています。(演奏)それはほとんど長調での・・・平行調での展開形のようです。(演奏)そして、やっと平静さを取り戻したと思ったところで、ベートーベンはそれを遮ります。また感嘆符です。(演奏)変イ・・・またしてもこれはナポリの6度です。(演奏)」

「これだからこの楽章を演奏するのは、非常に難しいんです。このように『時が止まる瞬間』というのがあって、ですが自由なカデンツァではないので、常に拍感を念頭に置かねばなりません。(演奏)このパッセージは私にとって『鳥肌パッセージ』なんです。感じますか・・・この信じられないほど素晴らしい・・・(演奏)モルトレガートで・・・クレッシェンドも何もなしですよ・・・(演奏)嵐の登場です。(演奏)’blitz und donner’-『雷と稲光』と共に。そして・・・(演奏)このソナタは、少なくともニ短調ソナタと同じくらい、シェイクスピアの『テンペスト』と関係が深いと私は思います。ということで、これが提示部の終わり。」

「そしてここから展開部が始まります。(演奏)エンハーモニック(異名同音)転調です。(演奏)ラ♭がソ♯になります。ピアノでは・・・私達ピアニストは(ここで)いつも音程がくるってしまうんです。調律はしているんですが・・・私達にはどうすることも出来ません。ですが心の耳では感じることが出来ると思います・・・この美しい変化を。(演奏)という風に常に転調しています。ここで演奏を止めたのは、とても重要な部分だからです。新しい主題で・・・こういった部分でいつもベートーベン(作品)に感銘を受けるのですが、彼はここで自分を抑え、譲るんです。とても人間らしい側面を私たちに見せていると思います。(演奏)そして私達は重要な鍵を握る『変二(長調)』の上にきました。これがニ短調で・・・(演奏)3度の関係調ですね。しかし(そういった点よりも)既にお話したとおり、この作品の中で変二長調はとても大切な調です・・・こことの関係で(演奏)そしてこの変二長調から登っていきますけれど、ここではバス音の動きを追うことが非常に重要となってきます。構造の上っ面だけ聴いてはいけませんよ・・・基盤こそが大切です。(演奏)」

「私達はこの素晴らしい第2主題をまず耳にしますね・・・(演奏)ですが一方、バス音はというと・・・2オクターブ上がっていきます。(バスを強調して演奏)聴こえますか?(演奏)さらに登りつめ・・・(演奏)という風に・・・ここから・・・ここまで登ってくるわけですね。全2オクターブですから、壮大な登山です。そして彼は、この減七の和音の上に留まり・・・(演奏)と彼はここで、意図的にペダルを使っています。彼は最初にペダルを導入した名作曲家で、楽譜上にペダル指示を加えていますから・・・変えてはいけません。あるべきは膨大な反響音です。(演奏)常にレ♭ですね・・・聴こえますか。そして私達が冒頭で聴いた『運命のモチーフ』がピアニッシモで・・・(演奏)ですがここでは、真のアポカリプスのように。(演奏)そしてここが再現部へ向かう地点です。それから、私は最初に『8分の12拍子の拍を感じなければならないですよ』と申し上げましたが(演奏)ベートーベンはここで、真意を明らかにするわけです。ピアニッシモのオスティナート(執拗反復音形)バスが繰り返しています。(演奏)そして半音分上がり・・・(演奏)そして今、長調ですね。再現部について、全詳細を追うわけにはいきませんけれど、信じられないほどのエナジー・苦悩を感じ取ることが出来たと思います。ここの部分はいつも心臓発作を起こしそうになるんです・・・もしコンサート中に起こったとしたら、悪い逝き方ではないとは思いますが笑 そう努めているわけでは決してないですけれど・・・病院(で最後を迎えること)に比べたら、断然良いと思います。」

「そして、大変素晴らしいコーダ。(演奏)またしても変二長調。この調から、なかなか逃れることが出来ません・・・ベートーベンはよほど変二長調を好んだんですね。(演奏)これまでに積み上げたものが一気に解体され『運命のモチーフ』だけが残り(演奏)・・・そして噴火(演奏)8分の12拍子はなお健在で、それはまるで『最後の審判』(演奏)実にアポカリプス的シーン・・・Dies irae(怒りの日)のようですね。そしてベートーベンは全ての・・・彼の鍵盤上に存在した全ての『ファ』を奏でます。彼のピアノはだいたいこのくらいの長さで(ここは身振りで短いことを示しているかと思いますが)私達のはもっとたくさんありますが音楽自体も(比例して)良くなったわけではありません笑」

「さて、嵐の後に求められるのは・・・静寂さです。そしてここでベートーベンは、この穏やかな変二長調(第2楽章)を与えてくれました・・・とても厳粛なテーマです。(演奏)アンダンテ コン モートですから『歩くような速さで』遅すぎずに・・・そして変二長調で、とてもシンプルなテーマです。最初の8小節に出てくるメロディーは、たった2音から構成されています。(演奏)ですが今回も、バスに注目するのが好ましく・・・(演奏)そして、この付点のリズムは『行進』を彷彿させますね。非常に厳粛な行列です。それから最初の8小節が繰り返されますが、ここでは次の8小節を演奏してみますね。(演奏)ここで私達がすぐに気づくのは、暗い響き・・・ベートーベンは低音域を使っています。ですから、チェロやコントラバスといった低音の弦楽器・・・そして私のイマジネーションの中にはトロンボーンもいます。(演奏)なにか祝祭的かつ厳粛な様子です。」

「それから(構成的には)主題と3つの変奏、そしてコーダ。となりますが、ここで注意を払うべき2つの特徴的な傾向があります。ひとつ目は暗から明への流れ。最後の変奏に至る過程で、徐々に明るさを増していきます・・・まるで日が昇るように。そしてもうひとつは大きな音価から始めて、それを変奏ごとにどんどん小さくしているということです。まず4分音符で始まり・・・(演奏)最初の変奏は、8分音符。左手がスタッカート・・・(言い直して)右手がスタッカートで左手がレガートです。(演奏)まだ暗闇の中ですよ。そして第2変奏が始まると、やや光に近づき・・・16分音符。ここはモルト レガートです(演奏)そして最後の変奏で私達は光に包まれます。32分音符ですね・・・(演奏)アポテオーシス的この後は・・・(演奏)エピローグへと続きますが、ベートーベンはここで主題からほんの一部だけを抜き出して使っています・・・それらは他の音域へ移されて。」

「ベートーベンの素晴らしいところは・・・それがほとんど毎回ピアノには聴こえないところです・・・・と言いますか(自分の演奏を指して)そう聴こえていないといいんですけれど笑 私達は常に、弦・管・金管・・・といった様々なオーケストラの楽器の音色を想像しながら演奏すべきですね。一方・・・とんでもないことに、これをオーケストラ編曲する方が存在します。これら(のピアノソナタ)は、ピアノで演奏するから素晴らしいのです。ですから、ピアノで何百万もの音色を表現すべきであって、何百人もの『十分に稽古しない人々』によって演奏されるべきではありません笑 それでは、この楽章の最後の部分を演奏してみましょう。(演奏)金管楽器・・・そして木管・・・(演奏)チェロと共に(演奏)再度、木管楽器・・・(演奏)・・・そして、こう来るかなと予想されますが・・・実際の展開は違います。(演奏)・・・最後の音があって(演奏)アルペジオ・・・フェルマータと共に。それから再度訪れる『危機』。ベートーベンはこの和音を繰り返します。左にアルペジオ、右に和音。さらに彼は、ここにseccoと書いていますので『乾いた音で』ということですね。ということで、こうあって・・・(演奏)トランペットによる『最後の審判』のように。」

「そして最終楽章は『アレグロ マ ノン トロッポ』ですから、これもまた速く演奏しすぎてはいけません。チェルニー練習曲等ではなく、音楽的最高傑作のひとつなのですから。そして(全体を)焦って演奏さえしなければ、世界の終わりが訪れる最後の『プレスト』・・・ここで、ほとんど耐え難いほどの緊張感が表現されると思います。(演奏)タカタカ タカタカ・・・(とテンポ&リズムを口頭で示し)これより速くならないように。そしてベートーベンの天才的なところは、全てがことごとく繋がっているという点です。最初に出てきたナポリタンの移調を覚えていらっしゃるかと思いますが・・・(演奏)ここでも・・・(演奏)同じ連結方法を使っています。そして連続的16分音符で無窮動な音楽が展開されているかのようですが、その下地にはこの『ため息』のような動機-sospirando(ソスピランド)があります。(演奏)ということで、これらの小さな音符の背後にある主要動機を見つけなければなりませんね。」

「それから最初の楽章と同じく、重要なのが『繰り返しが欠落している』という点です。提示部が繰り返されていませんね。これはほとんど前代未聞のことです。なぜなら通常のソナタでは提示部が繰り返されますので。ですから、ベートーベンはこのトラディションを打ち破ったわけです。と共に、どれほど彼が新しい方向性をみつけようと努力していたか、ということがおわかりになるかと思います。第1楽章には全く反復がなく、そしてこの最終楽章に関しては提示部の反復はなし、続く展開部・再現部は繰り返されています。そしてこれはop.54の・・・(演奏)・・・この楽章にあったように・・・(演奏)興味深いバランスを生み出すわけですね。むしろ短めの前半、そして巨大な後半にコーダ、といった風に。では展開部からもう少し演奏してみましょう。(演奏)これもまた新しいモチーフです。第1楽章と全く同じタイミングで登場しています。(演奏)どちらも新しいテーマを紹介する役目ですね。(演奏)まるでバッハによる2声インベンションのように互いを真似し合い・・・そして、これにうんざりした彼はユニゾンでその鎖を断ち切ります。(演奏)」

「と、これが再現部です。覚えていますか、鳥肌パッセージ。(演奏)第1楽章のこの部分と対になっていますね。そして再度ピアニッシモで、クレッシェンドはなし。ペダルをどこで踏んでどこで離すか、という厳密な指示もあります。(演奏)全てをひとつのペダルで・・・(演奏)それからこの『ソ』で離して・・・ドミナントでまたペダルです。(演奏)ここにはスフォルツァンドを書いていますね。(演奏)ナポリタンの上に(演奏)それから、この巨大な展開部・再現部を繰り返します。最後は非常に恐ろしいです。彼はものすごい accelerando(アッチェレランド)を置き、どこまでもスピードを上げていきます。それはまるでハンガリー舞踊のチャルダッシュのように。リストの作品に”csardas macabre”というのがありますが、これは『死の踊り』のことですね。(演奏)ということで、これが・・・これは極めて素晴らしい作品であり、常に私達を驚愕させ続けています。」


Danse_macabre_by_Michael_Wolgemut.jpg
Danse macabre by michael Wolgemut
Reference:https://en.m.wikipedia.org/wiki/Danse_Macabre
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ピアノソナタ第22番 ヘ長調 op.54
2017-02-04 Sat 11:30
Part 1. Sonata in F Major, opus 54 no. 22

第6回目プログラムより「ピアノソナタ第22番 ヘ長調 op.54」のレクチャー内容です。講義時間30分程度、この日の最初の曲なので(お客さんが入れ替わっていることもあり)重複した話題があります。それからチェルニーに関して、やや辛口のシフさんとなっておりますので笑 気分を害される方がいらっしゃらないといいなと願っています。それにしても、結構書いた気がするのにまだ22曲目・・・。さておき、途中で何度も何度もピアノを弾きながら説明されているので、出来れば音源を聴いてもらえるとわかりやすいと思います。



(第1楽章を途中まで演奏)

「たった今お聴きになったのが、ヘ長調ソナタ op.54の冒頭部分となります。このソナタはおそらく、32曲の中で最も認知度の低い、あるいは一番好まれない曲だと思います。ベートーベン・ファンを自称する方々ですらこの曲とは馬が合わないようで、多くのピアニストは完全に嫌っているのですが・・・私は、このソナタの肩をもって弁護したいと思います。笑 私はこのソナタがとても好きです。そして私は、この32曲のソナタの中に、ひとつとして弱点となるような曲は存在しないと信じていますし、この曲は決してそれに該当しないと思います。・・・ですが、まずこの曲は一連の『連鎖』の一部であるということを理解すべきだと思います。この(曲の)前に起こった事は何か・・・一つ前には、これをお聴きになりましたね(第21番のさわりを演奏)・・・op.53。『ワルトシュタイン』と呼ばれる、かの有名なソナタです。そしてこのヘ長調ソナタの後に登場するのは、全ベートーベンソナタの中で最も有名なこの曲・・・(第23番のさわりを演奏)ヘ短調のop.57・・・これは『熱情』と呼ばれていますね。」

「そしてこのソナタは、これら驚くべき大傑作の間に位置する実験的な作品ですが、だからと言って軽視してはならない作品だと思います。ベートーベンの作品・・・とりわけ、この創作時期(中期)の作品については軽視すべきではありません。この時期に書かれた作品、例えば・・・交響曲第3番、これらの2つのピアノソナタ、それからそのすぐ後にはop.59 3つのラズモフスキー弦楽四重奏曲、op.58 ピアノ協奏曲第4番 などがありますが、本当に名曲揃いです。彼の人生において、非常に重要な時期だと思います。それではなぜ、聴衆または解釈しようとする者達が苦心するのか。このソナタを紐解いてみましょうか・・・ぜひ少し探究してみましょう。」

「この曲は、聴くのも簡単ではないですし・・・演奏するのも簡単ではありません。まず曲の始まり方。そこには何の問題もありませんね。2楽章構成で、もちろん意図的にそうされているのですが、ここで注意を払いたいのが、ベートーベンはハイドンの弟子であったということです。師匠の足跡を辿っているということ・・・ハイドンは数多くの2楽章制ソナタを残していますからね。そして、モーツァルトはというと、ひとつもありません。ベートーベンはかつて『ハイドンから学ぶことなど何もない』と発言しましたが、それは非常に反抗的な若者の発言であって、後のベートーベンだったらそのような発言は控えたと思いますけれど。それから、ベートーベンはハイドンの間に多くの共通点をもち、モーツァルトとはほとんど接点がありません。モーツァルトは全く別のタイプの天才で天からの贈り物である、ということをベートーベンは知っていたと思います。ですから彼は、モーツァルトをとても敬愛していましたけれども・・・彼の道は他にあると、ハイドンこそが彼の目標とすべき人であるとわかっていたんですね。」

「では、このソナタの冒頭に話を戻しますが(演奏)『イン・テンポ・ドゥン・メヌエット』メヌエットのテンポでという意味です。しかし、この楽章は実はメヌエットではなく、あくまでもどの程度の速さで演奏するかというテンポの指示です。先のワルトシュタインソナタで(演奏)第2楽章にはオリジナル案があったとお話しましたが・・・『アンダンテ・ファヴォリ』ですね。(演奏)これは非常に美しい曲ですが、ベートーベンは友人の『ソナタには合わない』という助言に従い、そこから削除しました。そしてそれは非常に賢い判断で、さらにこの曲が『アンダンテ・ファヴォリ (WoO.57)』という形で残っていることは、私たちにとってとても幸いなことですね。そして、その1年後・・・あるいは(アンダンテ・ファヴォリを使わなかったのは、まったくもってもったいないことだ)と思ったのかもしれません・・・新しいソナタに着手し、アンダンテ・ファヴォリと似たような雰囲気の曲を同じ調で書き始めます。ヘ長調です。メヌエットのようなその楽章は裏拍で始まり、3/4拍子ですから・・・12・・・(3から演奏)それから、これは4小節でひとつのフレーズを形成していますので、4小節で1段落ですね・・・そしてそれらの終わりの部分は常にトニック、ヘ長調です。これは既に変わっていて、なぜならとても噛み砕いて表現しているからです。彼は最初の4小節を繰り返し、9小節目からは・・・(演奏)いつもヘ長調で締めて・・・(演奏)さらに4小節・・・(演奏)常にこのヘ長調で終えるわけですね。この女性的終止で。」

「それから彼は最後の8小節を繰り返しますけれど・・・変奏という形です。そして、ベートーベンは変奏の達人であったということを思い起こしてくださいね。(演奏)全てが整頓され、特に変わったところもないようです。・・・とそこで、何かとても奇妙なことが起こります。最後の4小節から演奏しますね・・・(演奏)・・・ここは美とは全くかけ離れています。私はここを(意図的に)美しく弾こうとしていません・・・なぜならここは美しくあるべき部分ではないと思うからです。そしてそれは私達の美学、古典美という観念から逆行していますが、私はこういったものを『美女と野獣』と呼んでおり・・・ここはまさに『野獣』です。台詞的に真似し合うダブルオクターブと共に。また、スフォルツァンドによる味付けで。(演奏)後にこのオクターブのインターバルは6度、3度、2度と変化しますが、これらのスフォルツァンドは一貫して頻繁に現れます。演奏する者はこれらの指示を真剣に受け止めなければなりませんね。鋭利さにアイロンをかけてしまったベートーベンソナタほど、酷いものはありませんから。美しくあるべきではないのです・・・ですが、ここは美ですよ。(別の部分の演奏)それから、この部分は本当にエネルギーに溢れています。もちろん醜いわけではなく・・・醜さとはまた別物ですので。(演奏)それ以外で興味深い点は、『美女』のパートでは通常の3拍子で123,123。しかし、ここの部分に限って彼はそれを隠しています。小節線に逆らっていますね。そして、私達はこういったものをヘミオラと呼びますけれど、3/4拍子のところに作曲者が2/4だとか4/4のフレーズを入れるということですから、(そこでは)小節線(への執着)を忘れなければいけないわけですね。」

「とにかく、これは熟練のなせる表現。アシンメトリーかつ予期せぬ展開だと思います。現代の私達にとっても聴きなれない展開なわけですから、ベートーベンの時代の聴衆にとってはことさらですね。そしてここから・・・(演奏)3度の関係調、変イ長調です。それから、この第1楽章全体はABABA形式を取っています。そしてAが『美女』でBが『野獣』です。それと『美女』は3つの変奏によりますが、『野獣』については2種の変奏で、2番目の『野獣パート』は最初のそれよりも少し短くなっています。では、『美女』の変奏のひとつを演奏してみましょう。(演奏)・・・とそして、このエネルギーに満ちたコントラストとなるわけですね。それから『美女パート』が3回目に現れると、ベートーベンの真意がやっと明らかになってきます・・・『美女』の勝利です。そして・・・そうあるべきですね(演奏)このちょっとしたニュアンスが美しいですね。短調へ行って(演奏)その変奏・・・(演奏)ピアノ協奏曲のカデンツァのように・・・(演奏)そしてここが最も美しいところです(演奏)非常にアポテオーシス的で・・・交響曲第5番の第2楽章を彷彿させると思います。(演奏)変奏・・・(演奏)ディミニッシュ9thをもって・・・(演奏)・・・この不協和音が『野獣』の存在を思い起こさせますね・・・回顧的に。それから、女性的終止で終え・・・(演奏)」

「第2楽章が『アタッカ』で続きますから、休まず続けて演奏します。そして『アレグレット』ですので、速く演奏しすぎてはいけませんね。ですがほとんどの方が指示を無視して、無謀なスピードで演奏します。おそらく・・・私達の『愛する』チェルニーの影響かと思いますが・・・。チェルニーの話題に触れる度、私自身の彼に対する同情心の欠落を隠しきれないのですけれど・・・チェルニー。なぜなら、いつも・・・後の時代をとってみても同じことが言えますけれど、多くの人が誰それの弟子であるということを理由に大キャリアを積み上げます。やれベートーベンの弟子、バルトークの弟子、ヤナーチェクの弟子などと。ですが、そういったこと(名前)を引き合いに出すのは、それ以外の方法で彼らの独自性を説明しきれないからです。(会場沸く)チェルニーがベートーベンのピアノ音楽に関する本を出版した時、彼がこのソナタの第2楽章について書いたのは『ピアニストにとって、練習曲の成果を披露する絶好の機会です。輝かしい練習曲とその習得について』 

ですが本当に頻繁に、この曲が節度ない無窮動で演奏されているのを耳にしますが、それでは音楽的な詳細や美しさ、詩的部分が全く伝わってきません。もちろんこれは無窮動な曲ですが、永続するような16分音符での動きです。(演奏)今のが最初の20小節ですね。そして、この20小節は繰り返されます。この楽章のバランス配分は非常に並外れていますね。なぜなら、とても小さな冒頭部分・・・今お聴きいただいた20小節ですね。それから、展開部、再現部。それらは7倍の長さの140小節以上にも及びます。ですから、これは古典的な形式に対する固定観念を覆す作品と言えるでしょう。どちらかと言えば、全てを均等に配分するのが通例となりますので。ということで20小節を2回、それにおよそ140小節、これも繰り返されます。その後は27小節のコーダ。彼はそこへピウ・アレグロを置いていますので、(コーダに来たら)本当に加速されなければなりませんね。楽章全体を、私が演奏したテンポより速く弾いてはいけませんよ。むしろ、さらに少しゆっくり目くらいで調度良いと思います。そしてコーダでは、本当に炸裂すべきですね。そして私達は同じような『レシピ』を・・・あえてこういった表現を使わせていただくなら・・・あまり良い表現ではありませんけれど苦笑・・・『熱情』の最終楽章でも目にすることになるでしょう。」

「さて。ところで16分音符の部分に注目してみると、隠された旋律やハーモニーを見つけることが出来るかと思います。コラール風に演奏するよう努めてみますが・・・(演奏)既に非常に美しいと私は思います。ヘ長調の三和音があって、それから分散和音VI。(演奏)そして3小節目・・・素晴らしい音楽的センスの持ち主であるドナルド・フランシス・トーヴィー。彼は、ここをjerk『痙攣』と呼びました。現在はあまり良い意味を持つ言葉ではありませんが、彼の時代には裏の意味がありませんでしたので笑 (演奏)『痙攣』は2つの音からなるモチーフです。(演奏)2つ目にスフォルツァンドです。そして、右手が真似し始めると、それは3音のモチーフへと変化します。(演奏)ちょっとしたシグナルのように。ではこれを聴いてみてください。(演奏)とても美しい表現ですね。ベートーベンをおいて、誰も書いたことのないようなピアノ表現です。(演奏)ですが数年前・・・ちょうど4年前のソナタop.26(演奏)葬送行進曲の後の最終楽章はこんな風です。(演奏)彼は4年前にもうこのテクニックを使っていますね。(演奏)

「ここで既にドミナント、ハ長調です。(演奏)素敵な楽章ですね・・・そして、へ長調の楽章のドミナントへ到着した後、展開部が始まり(演奏)非常に頻繁に起こる転調と『小旅行』・・・精通している人ですとか、絶対音感が備わっている人ですら、ついて行くのは非常に困難だと思います。なぜなら、とても変わっていて予期出来ない動きなので、どこへ連れて行かれるか見当もつかないからです。そしてここで、新しいモチーフが始まります・・・リズム的モチーフです。(演奏)トランペットやホルンでのシグナルのように。ここでご紹介しているモチーフの多くは、純粋にインストルメンタル的です。つまり声楽的ではありませんから、(声に出して)歌うのが難しいです。(演奏)変ニ長調のドミナントへ到達しました。そしてここでベートーベンがエクスプレッシーボと指示するモチーフが出てきます。」

「ベートーベンは無窮動の部分で頻繁にドルチェ・・・極めて頻繁に、ドルチェ エクスプレッシーボとしますね。(演奏)これはチェルニーの練習曲などではないですよね・・・私にはどうしてもチェルニー(練習曲)との関連性を見出すことが全く出来ないんです。(演奏)そしてやっと主調のドミナントまで来ました。ですが、私達はたくさんの変換を経て自宅からは遥か遠くに来てしまった気分です。そして今度は(演奏)ここの部分に私はとてもユーモアを感じるんです。まるでギリシャの神が石ころで遊んでいるかのようで。(演奏)とこれが再現部ですが、前出の時とは異なるオーケストラ・アレンジです。なぜならティンパニ・ロールがあって(演奏)それからベートーベンは、よく再現部にサブドミナントを持ってきます。(演奏)短調・・・(演奏)全音分下降して・・・(演奏)もう1つ分・・・(演奏)スフォルツァンドは小節内で(通常は)アクセントのつかない部分に置かれています。

それからダイナミクスは常に極端で再現部だけとってみても、フォルテシモとピアニッシモです。(演奏)そしてここを繰り返すわけですね、140小節ちょっとある部分を。とても膨大なコンセプトだと思います。それから、このピウ・アレグロによるコーダです。うんと速くなりますよ。では、これまでの部分の終わりから演奏してみましょう。(終わりまで演奏) ということで、こう終わるわけですが・・・どうりで人々が混乱を覚えるわけですね。終わったかどうかよくわかりませんし、とても短いです。しかし、ベートーベンはこのソナタをとても大切に思っていました。ですから、これはアクシデント的に作られた作品ではなく、と同時に・・・もしかしたら、この作品はもともと一般に向けて公開するつもりや、とりわけこの作品を通じて自己顕示するつもりでもなかったのかもしれません。ベートーベンは、作曲家として円熟するにつれ『他人からの評価』というものに対し、だんだんと興味を持たなくなっていったように思えます。」


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ピアノソナタ第21番 「ワルトシュタイン」 ハ長調 Op.53
2017-02-03 Fri 08:00
Part 4. Piano sonata in C major, opus 53 'Waldstein'


第五回目プログラムより「ピアノソナタ第21番「ワルトシュタイン」 ハ長調 Op.53」のレクチャー内容です。講義時間48分といささか長めです。それと、私が途中にあるシフさんの演奏を繰り返し聴いてしまうせいで笑、かなり行ったり来たりしながら作業したため、抜け落ちているところや接続の悪いところがあるに違いないですが。。それらはあとで時間が取れたら修正しておきます。

その都度ピアノを弾きながら説明されているので、出来れば音源を聴いていただけるとわかりやすいと思います。




「そして(前作より)1年か2年のちの1803年~1804年頃、このハ長調ソナタが書かれました。Op.53です。このソナタが「ワルトシュタイン」と呼ばれるのは、この作品がワルトシュタイン伯爵に献呈されたことに由来しますね。ワルトシュタイン伯爵は、初期のボン時代から既にベートーベンの良き助言者、そしてスポンサーであり、ベートーベンが出生地ボンを離れウィーンに向かった時「ウィーンへ赴き、モーツァルトの精神をハイドンの手から受け取りたまえ」と彼に寄せました。モーツァルトがこの世を去ったのが1791年で、ベートーベンが*ボンに到着するのはそのすぐ後となりますが、(その頃)ハイドンはまだ生存中でしたね。(*ウィーンの言い間違いかな) とにかく、ワルトシュタイン伯爵はベートーベンにとって、初期からの援護者かつ友人だったわけです。」

「さて。このソナタはプログラマチックな部分がまるで見られず、さらに皆に最も愛されてきたソナタのひとつと言えますが・・・本当に絶賛しきれないほどの名作と私は心底敬服しています。それと、この曲は私が一番最後に学んだソナタのひとつで・・・なぜなら、それまで何度も耳にする機会がありましたし・・・多くの場合(それらの演奏の印象は)あまり良くなく・・・若い頃はよく『どうして皆このソナタのことを騒ぐんだろう』と思っていました。ですが、実際に曲を学び歳を重ねるにつれ、この曲は単に『ベートーベンソナタの中の傑作のひとつ』ではなく、音楽全体における最高傑作のひとつだと悟ったのです。また、このソナタは音楽史上・・・ピアノ音楽史上における、一つの幹であるとも思います。鍵盤楽器の・・・ピアノのための作曲の仕方、オーケストラ的表現という点も含み、さまざまな音響効果を得るためのその真新しい発想は、ベートーベンにとっても他の作曲家にとっても未開のエリアでした。では少し演奏してみましょう」

(提示部の演奏)

「と、これが提示部です。そしてここで繰り返し。再三申し上げていますが(楽譜どおり繰り返すことは)極めて重要です。おわかりになると思いますが、音のスペクトラムそのものがものすごく拡大されています。そしてまたしても、非凡な始まり方で、今回ベートーベンはトニックで始めます。ハ長調ですね・・・(ハーモニー演奏)ですが、この繰り返し連打される8分音符のリズム要素がモチーフとして存在しています。(ピアノの縁を叩いてリズムを示す)ハーモニーとしては・・・(演奏)それから、これを思い出してみましょう・・・(第16番冒頭の演奏)下降音形ですね。それから・・・(演奏)これはモチーフです。問いかけと・・・回答(演奏)ベートーベンは鍵盤上の異なる音域-低・中・高音域を巧みに使っています。驚くほどの効果と素晴らしい想像力ですね。それからこの音形・・・これは、この部分の変奏形で(演奏)トレモランドですね。(トレモランドは)非常に新しいピアノの表現方法ですが、オーケストラや弦楽四重奏に馴染みのある方はご存知かと思いますが、弦楽器ではよくありますね。そして次は、下降するかわりに・・・上昇させています(演奏)それから、この橋渡し的パッセージを挟み新しく出てくる第2主題は(演奏)天にも昇る心地のホ長調、(主調からみて)3度の関係の調ですね。これもまた、ト長調ソナタ(第16番)をモデルにしています。(演奏)・・・ト長調での第2主題はロ長調でしたね。そして、この曲の場合はハ長調から・・・(演奏)シューベルトはこういった調性の関係をとても頻繁に使いました。」

「とにかく、このコラールのような第2主題へ入ったら(演奏)またリズムに注目すべきだと思います。ゆったりとした動きですが、パン パパ パン パ  パン パパ パン パ・・・(演奏)dactylとspondeusですね。*詩脚、韻律の種。ダクテイルは強弱弱、スポンダイオスは揚揚格。  (演奏) 今、『シ(ナチュラル)』の上にアクセントを置きましたが、ベートーベンがそう書いているからですですよ。今日は、幸いにもここに持参しました・・・(といいながら、ゴゾゴゾと何か出している)直筆譜を閲覧できるのは素晴らしいことだと思います。そして幸いなことに、発行された中でも『比較的見やすい』もので、驚くほど修正が少ないんですよ。例えば、非常に重要な点として、ベートーベンはスフォルツァンドをこの音の・・・シ(ナチュラル)のところにおいています。それから他にも、この直筆譜の最初のページに注釈があって、彼はドイツ語で書いていますが・・・私は英語で言いますけれど『私がPED.と書いた時は、両方のペダルを踏むこと』

ここで知っておいていただきたいのが、ベートーベンの時代のピアノは、多くの場合においてサステインペダルが真ん中で分けられていました。バス音域用のペダルと高音域用のペダル、という風に。ですから、ベートーベンはここで意図的に言っている『私がPED.と書いた時は、両方のペダルを踏むこと』の両方とは、つまり低音ペダルと高音ペダルの両方ということですね。『そして私が○印を書いたら、ペダルを離すこと』。このソナタには、こういった指示書きが数多く含まれています。直筆譜を参考にしてお話しているので、空想などではないですね。ですが昨今の演奏者たちは『もちろんそれは承知しているけれど、気にしなくて構わないですよ』と口を揃えて言います。『なぜなら、現代のピアノはベートーベンの時代のピアノとは違うから』と。ですが私は、それでは言い分として説得力に欠けると思います。これらは、ベートーベンによる素晴らしく革命的なアイディアの数々です。そして彼は、最終章の冒頭で書いたのは・・・(演奏)彼が求めているのは何層もの音のヴェールです。ハーモニーが変わるごとにペダルで几帳面に整頓された音ではなく。モダンピアノであろうと、古いピアノであろうと、私はそのアイディアそのものが重要だと思っています。ですから、私は『モダンピアノだから』というようなことは聴きたくないなと思うのです。」

「ということで、第1楽章の第2主題へ話を戻しましょうか笑 (演奏)コラールが左手へ移り、と共にこのような素晴らしい対位法を3連符の動きで用いています。そして、この3連符は徐々にその重要さを増していきます。なぜなら、冒頭では8分音符の連打がありましたけれど・・・(演奏)・・・と、今度は3連符がメインとなるわけです。そしてそれに合わせて、このホルンのようなシンコペーション・・・(強調して歌いながら演奏)ワルトシュタインは、ベートーベンのソナタの中で最も素晴らしいソナタではないかなと私は思います・・・この時点まで、と考えた場合には特に。それから、最後のテーマが登場し(演奏)またしても、パン パパ パン パ ・・・と dactylic-ダクテイル調ですね。 ベートーベンはこのテーマを使って、ほぼどこへでも転調させることが出来ますね。(演奏)そして展開部へと続くわけですが、でもこのモチーフでしたら・・・こんな風に(演奏)30分ぐらいは続けられます笑 ですが、この素晴らしい展開部でどんなことが起こるか、みてみましょう。(演奏)わかりますか?彼はこれらの・・・(演奏)2つのコードを使っています。本当にオーケストラの交響曲さながらに多彩で、様々なオーケストラの楽器たち全てが共に演奏しているような表現です。(演奏)ここの部分も素晴らしい音符が直筆譜にみられ(歌いながら演奏)バスにある『ファ♭』です。しかし、現代の版ではこれを修正してしまいました。このままの方がよっぽど美しいと思うのに・・・現在出版されているバージョンですと・・・(演奏)違いが聴き取れますか?(演奏) う~ん・・・版(による解釈の違い)は非常に難しい議題ではあります。ヘンレ版は素晴らしい版です。それで、現在『新・ヘンレ版』の出版が準備されていて笑・・・Op.31などが予定されていますが、これは私の友人で同業者でもあるマレイ・ペライアが監修者で、とても素敵な版です。けれど、まだこのワルトシュタインまでは到達していません笑 」

「それでは、次はどうなるでしょうか。(演奏)どこへ到着したんでしょう・・・ここはハ長調、つまりこのソナタのトニックです。ですが、心理的には遥か遠くへ来てしまった感覚がありますね。陣地へ戻ってきた気分はありませんし、そもそも帰巣感覚をもたらすような構造でもありません。(演奏)このテーマから(演奏)非常に複雑なポリフォニー的対位法の用いられた部分へ・・・(演奏)これらのアクセントやスフォルツァンドから感じ取ることの出来る嵐・闘い。ここは猛烈な闘争心に満ちていますね。そして、嵐はやっと静まり、ドミナントへと至ります。(演奏)そして、遠くからピアニッシモで聴こえてくる『ざわめき』・・・(演奏)ここは本当に、魔法のような瞬間です。まるで大自然の力、日の出のように。あるいは天地創造のような。ハイドンの『天地創造』でも、光が差し込む瞬間がありますが(演奏へ戻る)混沌に始まり・・・(演奏)・・・という風に戻ってくるわけですね。ですが、この太陽の登場の仕方・・・素晴らしい楽章です。(演奏)聞き取りづらいですが、ド ド♯ レと徐々に発展する様子。(演奏)そして再現部へと移って行きますけれど、ここで少し時間をとってコーダについてお話してみましょう。なぜなら、これは非常に巨大な楽章ですので」

「ナポリタンから始まり・・・(演奏)ハ長調から・・・(演奏)非常に遠い調です。(演奏)ここで初めて、とてもドラマチックに答えが返ってきます。(演奏)スフォルツァンドは全て2拍目の上です。(演奏)ピアノ協奏曲の中の壮大なカデンツァのように。それから、ちょっとした・・・(演奏)2つのスケール。(演奏)そして素晴らしい第2主題・・・やっと主調ですね。(演奏)しかし、別の音域で(演奏)最後の音は与えられず(演奏)短調で・・・(演奏)3度目は・・・(演奏)再度、長調で・・・そして彼はこれを手放します(演奏)」

「この後、ベートーベンは素晴らしい楽章、アンダンテ・ファヴォリを書きました。ですが、彼がこの作品を友の前で演奏して聴かせた時、皆このソナタに合わないと思いました。とても美しいとは思いましたが、バランスが悪く長すぎると思ったのです。ベートーベンは激怒しました。彼は批判を受け止めるのが苦手でしたので笑 私達もそれは同じですが笑 しかし彼は、この批判を聞き入れ・・・そして、そうしたのは正しい判断ですし・・・幸いにも『アンダンテ・ファヴォリ(ヘ長調 WoO.57)』として、これを残してくれました。(アンダンテ・ファヴォリの冒頭を演奏)輝かしい名曲だと思います。私は(この曲を)いつもこのソナタの後に演奏するんです。このソナタのオリジナル案をお聴かせする意味で。それにしても、ベートーベンが友の助言を受け入れたのは非常に賢い判断だった、いうことがおわかりになると思います。彼はアンダンテ・ファヴォリを外し、その代わりにもっと短い楽章を書き加えました。インターメッツォとして、イントロドゥッツィオーネ アダージョ モルト・・・・極めてゆっくりです。そしてこれは、インターメッツォのような・・・最終楽章への準備のようなもので、お聴きになると(わかりますが・・・と言いかけて)・・・何度も聴いたことがあるかとは思いますけれど、考えてみると、このソナタの輝かしい点のひとつは第2楽章から第3楽章への繋げ方にあり、それは音楽における最も夢のような瞬間です。そして、アンダンテ・ファヴォリからこのような瞬間を創り出すことが出来たとは、少し想像しがたいなと思います。」

「さて、この楽章はとても哲学的でPenseroso的発想です。非常に深遠な・・・(英国の詩人ジョン・ミルトンによるイル・ペンセローゾ『物思いに耽る人』の引用。対になるなるものとして『陽気な人』 L'Alegroがあります) (演奏)このように、ベートーベンはヘ長調という調をここから流用しています(アンダンテ・ファヴォリ冒頭の演奏)・・・ですが、素晴らしく広い意味を持つ楽章だと思います。なぜなら私達はこれがヘ長調の曲であるということに、およそ10小節くらい目まで気づきません。ファから始まるものの(演奏)ここで既に・・・(演奏)遥か彼方へ。そして、常にバスの進化に注目すると良いと思います。(強調演奏)・・・ドミナント・・・そして、本当にヘ長調へ落ち着きます。ですからここに至るまでは『語り』で、ここから『歌』が始まります。(演奏)その他の声部によるエコー(演奏)それから彼はここでこの歌を遮って・・・冒頭へ戻ります。(演奏)とても沈んだひとときです。それから、最初の部分の変奏があり、そしてドラマ性を増していきますが・・・あまりあれこれ言うべきではないですね・・・とにかく聴いてみてください。

(第3楽章の冒頭まで続けて演奏)

「・・・これが最終楽章のロンド。アレグレット モデラートです。本当に『速い楽章』ではありません。なぜこの楽章を急く方がいるのか理解に苦しみますが・・・まるで『電車の発車時刻に間に合わない』といった風に。笑 これは、非常に『モデラート』な楽章です。そして曲の終わりには『プレスト』のフィナーレが用意されています。そこでは本当に(速度を)開放しても良いと思いますが、もし楽章全体を速く弾いてしまったら、『プレスト』部分が機能しなくなってしまいますね。ということで、緩徐楽章の最後の音『ソ』がスフォルツァンドで、最終楽章はバス音から始まりますから・・・(演奏)2つは個別に存在するのではなく、互いに繋がり合っています。後で明らかになりますが、構成的にとても重要なことです。

それから、ペダルについては既に触れましたけれど・・・これらは非常に巨大なパッセージで、ハ長調とハ短調が層を成しています。(演奏)そして彼が白丸を印したパッセージが来ますので、ペダルは離し・・・(演奏)ペダルなし。でも、レガートで。(演奏)ペダル付きに戻って・・・(演奏)・・・ペダルなし・・・(演奏)ペダル・・・(演奏)ペダルなし(演奏)ここで非常にピアノ音楽的な旋律が出てきますが、現代においても極めて難しく、ベートーベンは『この部分が困難と感じる人は、特定の音を外して演奏してもよい』と注意書きを残しています。(会場沸く)・・・ですが本当に、まずトリルがあって・・・(演奏)・・・さらに・・・こう弾かねばならず・・・(演奏)本当に一筋縄ではいきません。笑 

と・・・ここまでがロンドの最初の部分で、次に来るのは交響曲的に表現されたロシアの田舎風な踊りです。(演奏)とてもロシアっぽいですね。(演奏)またしても、この多層な音が聴いて取れますか? 彼は全てをひとつのペダルで表現したいのです。(演奏)・・・と、ロンドへ戻ります。最初のパートを繰り返したあとは、2つ目の主題が短調で現れますが、その様子は非常にドラマチックで緊急事態を思わせます。(演奏)またしても非常に難易度の高い、交響曲第3番『英雄』あるいは第5番を思わせるような、闘うベートーベンですが・・・美がそこになくても良いのです。ここでは美を追求しているわけではありませんから、美しいかどうかではなく本来あるべき姿であることが重要だと思います。そして彼は、この部分をこのように閉じます(演奏)そして次に来るのは・・・(演奏)再度登場する『希望』のモチーフです。(演奏)フランスでこの曲が l'aurore 『夜明け』と呼ばれるには理由があるわけですね。(演奏)」

「そしてここが核心部分、 変ニ長調のナポリタン調です。さらに次に来るのが、この素晴らしい出口を求めての推移です。シンコペーションで・・・(演奏)それと、この素晴らしいアルペジオ部分を弾く際、チェルニー練習曲のように捉えないでくださいね。そして、ここではバス音の方へ注意を傾けて聴いてください。(演奏)冒頭では・・・(演奏)・・・ですから、ここが重要と申し上げたのです。アルペジオは二の次ですよ。(演奏)ベートーベンが印したオリジナルのペダル指示と共に、ピアニッシモのみです。私達は、ちょうど再現部の境界線上にいて(演奏)長いペダルひとつで・・・(演奏)そして、この輝かしいフォルテシモが弾け飛んだ後、第1主題が戻ってきますが、それは拡大されさらにオーケストラ風に。(演奏)このオーケストラ部分は総奏、トゥッティです。全員が各々の楽器で演奏しています。そしてこの部分の最後で彼は、この主要リズムを繰り返します。そのリズムについて、シェーンベルクが後に作った用語『Hauptrhythmus-主要リズム』とは、うまいことを言っているなと思います(hauptとはドイツ語で『メインの』という意味らしい)。彼はそれを略してHPと呼びました。(演奏)」

「そしてコーダ。プレスティッシモです。ここは極めて急速に演奏します。(演奏)常にこのリズムですね。(リズムを強調した演奏)ピアノを弾いたことがある方・・・この部分は、散々議論しつくされたパッセージです。なぜならベートーベンは自筆譜で、ここをピアニッシモとした上で『レガート』と弓線を描き、運指はオクターブごとに15154。つまり、それらをオクターブで実現するためには、グリッサンドを意味するということが明白かと思いますけれど。多くのピアニストはここでも『ベートーベンのピアノでは易々と出来たかもしれないけれど、現代のピアノでは・・・」と。はぁ・・・またか、という感じです笑

まずは良質なピアノが必要です。ですから・・・それもあって、私は自分のピアノを持参するようになりました。最近行ったいくつかのコンサートではそうしませんでしたが、後で後悔したんです。笑 説明が難しいんですが・・・人々は『どうして、シフはウィグモアのピアノではダメなんだ、どうしてそんなにうるさいんだ』と。笑 ウィグモアホールのピアノはとても素晴らしいですが、自分の楽器で演奏出来る可能性があるのなら・・・要は自分のベッドで眠るようなものです。自分のベッドをどこへでも運べたら素晴らしいと思いませんか・・・それぞれのホテルへね。笑 

とにかく、多くのピアニストはペダルを使ってこのパッセージを演奏し(演奏)・・・すごいとは思いますが・・・これは単なる『ズル』です。・・・ですから、(グリッサンドを実現するため)シンパセティックなピアノ(共鳴効果のしっかり出るピアノ)が必須です。(演奏)それから次に・・・(演奏)とこのように、彼はまた旋律とトリルを合わせた手法を使っていますね。それから、なんて美しい転調でしょう。こんなにも技巧的なコーダにおいてもなお。(と言ったあと、最後まで演奏)」

Cole_Thomas_Il_Penseroso_1845.jpg
『Il Penseroso』 byThomas Cole Reference:https://en.wikipedia.org/wiki/Il_Penseroso




別窓 | シフのレクチャーコンサート。 | コメント:2 |
リズムと抑揚。
2017-02-01 Wed 02:51
シフさんのレクチャーがらみのひとりごと。


次の曲は、

私の大好きなワルトシュタインです。

常日頃、何かの間違いでもなんでも、

あの曲を自由な気持ちで弾ける瞬間が来たら

その時は喜びと興奮のあまり

その場でショック死するんじゃないか、と

いや、弾けるようになるまで死ねないなと

本気で思っているくらい、大好きなワルトシュタイン。


その考えで行くと、一生死ねなくなってしまうのは

さておき。


訳していると、

たった1語にあてる言葉を選ぶのに数時間

みたいなことが、たまにあります。

そういう時は、

いったん言葉を頭の片隅に保留した状態で

ピアノ弾いたり、家事をやっつけて、散歩したり、

子供から学校の話を聞いたり。


そうこうしていると、

ふとした瞬間に良い考えが浮かんで、また継続。

みたいなね。笑


まぁ要は、単に私の語彙が足りないんだろう。


しかし(言い訳がましいですが笑)言語というのは、

使う側と共に刻々と変化する宿命を持っているので

日々新しい言葉が生まれ、使われない言葉は死んでいく。


日常的に、肌で感じる生きた日本語が周りにない私には

いささか厳しい注文だったりするけど、ま仕方ない。




それとは別に、シフさんの場合。 時折ですが

言葉がいわゆる英語圏の英語とは違った回路を

通ってくることがあり。 もちろん、彼の英語は流暢で

上品で申し分ないですが、ふとした時にちょっとした部分が

少しだけ抜けたり不思議だったりする。それは本当に少しだし

偶になんだけど、でもそれが原因で意味不明ってことが

・・・・ないわけではない。


まぁ気が向いた時に、気が向いたところまで。

って感じで疲れない程度にやってますんで。




ま、ここまでは余談。


そのワルトシュタインの講義の一部をね、

昼間聴いていたら、シフさんが言うんです。

つまりこのリズムは 「dactylとspondeusですね」と。


そういった方面を専攻した方以外は、

なんのことやらかと思いますけど、

つまり韻律の一種で、説明大変なんで

ここではしませんが。

とにかく、このひとことを聞いて



そうか、そこから来てるのか。

考えてみたら当たり前だ・・・どうして

今まで気づかなかったんだろうと。

そういう気持ちです。


例えば、俳句や短歌を読み上げた時、

その音の連なりをなぜ美しいと感じるのか。

メロディーと歌詞がぴったり合っていると

感じる感覚はどこから来るのか。


音楽的リズムやダイナミズム。

詩のリズム。

西洋のリズム。

美しいと感じる言葉のリズムと抑揚。

アクセントの場所と、子音の数。

音楽との関係。





知らないことがあるのは幸せなことだ。

発見はいつもわくわくする。
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