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ピアノソナタ第6番 ヘ長調 Op.10-2
2016-10-31 Mon 00:50
Part 2. Piano Sonata in F major, opus 10 no. 2

第二回目のプログラムより「ピアノソナタ第6番 ヘ長調 Op.10-2」シフさんのレクチャー内容です。やっと6曲めです・・・。この曲は前回のレッスンの時、先生が候補に挙げた曲のひとつで、先生のお気に入りの曲らしいです。さておき、この曲の講義は23分と短めです。ピアノを弾きながら説明されているので、出来れば音源を聴いていただけるとわかりやすいと思います。



(第1楽章、提示部の演奏)

「ひとつ前の曲(5番)とだいぶ雰囲気が違いますね。叙情的でチャーミングで、気のきいたユーモアに溢れています。『予期』と『驚き』の連続です。さて、へ長調・・・では他のへ長調作品を思い出してみましょう。(バイオリンソナタ5番と交響曲6番の冒頭を演奏)田園的で春のような調ですね。(とにかく、この曲は)アップビート(裏拍)のアウフタクト(弱起)で始まり・・・(演奏)7声、とても厚みのある和音です。p(ピアノ)で(演奏)ここは小鳥のさえずりのようですね。そしてエコー(演奏)ここまでは縦の繋がりでしたが、ここからは横の繋がりへ変化し、ゆったりと大きな旋律が始まります(演奏)8小節に渡っての上昇と下降、とても美しい構造です。(演奏)そして最初のモチーフに戻ってきましたが、ここで重要な問題です。どちらの方向へ行くのでしょうか・・・(演奏)レ♯とミ♭は異名同音にあたります。そしてなんとなく聴いてとれると思いますが、この場合は紛れもなく『レ♯』のほうです(連なる響きを比較演奏)・・・隣同士で聴くと、ちょっと奇妙な感じですね。そして準備もなしに(・・・こんなところがとても型破りですが)ハ長調へ。(演奏)」


「それから、歌うような美しい旋律が第2主題として現れます。再度とても厚みのある和音で、伴奏はこんな感じです・・(演奏)常にちょっとしたスフォルツァンドがあり・・・(演奏)ドミナントへ到達しました。(演奏)そして、ここからは短調で歌います。(演奏)・・・とこのように運ぶことが予想できますね。ですが・・・ハイドンがベートーベンや私達に教えてくれた音楽的ユーモアとは、常に『予期』と『驚き』の中にあり、しかもそれは同じ『言語』を分かち合うものの間のみで効果がありますね(ここでいう言語とは、共通の関心)。作曲者と演奏者と観客が、同じ(音楽と言う)言語を分かち合うということです。ですから・・・(演奏)・・・と、このように運ぶことが予想できましたが、ベートーベンが実際に書いたのは(演奏)・・・そしてここは『訂正』・・・(演奏)本当にすごく可笑しいですよね(笑)」

「それにしても、ここにいるみなさんが(ベートーベンの音楽を)楽しんでくれて、本当に嬉しいです。なぜなら、仮にもし誰もこのテーマに興味を持っていなかったら・・・すごく面白い小話をしているのに、ちっとも愛されない・・・というのと同じようなことですから笑。

ここで、ちょっとした小話をお話したいんですが・・・誰も嫌な気持ちにさせないといいけれど・・・『精神病棟での話です。患者達はその日、互いにジョークを披露していました。しかし、それらは全てただの数字です。ひとりが言いました。「・・・17」わっはっはっは。みな一斉に笑いました。次の人が続けて「29」わっはっはっは。また、みなで笑いました。誰かが「218」と言った時にも、みな腹の底から笑いあいました。さて、その様子をずっと観察していたお医者さんは、自分も試してみることにしました。「73」・・・・・静まり返っています。お医者さんは訊きました。「73というジョークはないんですか」すると患者が言いました。「もちろんあるけれど、あなたの(ジョークの)話し方がよくなかった」と。笑」

「え~、ということで(演奏)続く部分もコミカルです。輪に入れずにうろうろ、両手は意図的に揃わず(演奏)ここも面白くて・・・なぜなら単細胞的で、2つの音域を使いつつ(演奏)まるで『のっぽとちび』『おデブさんと痩せっぽ』のような対比です。(演奏)そしてトニック、ドミナント、トニックと言う風に提示部が終わります。提示部の繰り返しのあとは、展開部です。提示部最後の3音をエコーさせ、平行調の短調へ(演奏)そして、フーガ的なバッハへのオマージュがはじまります。ちょっとした対位法的に3連符が出てきて(演奏)とフォルテシモで続きますが・・・常に乾いた短い音です。それと、後出てくるハ短調ソナタとの違いは、というと展開部の長さですね。この展開部はとても規模が大きいですよ。そして、こう続きます」

(演奏)

「新しいですね。今までに出てこなかった形です。ふたつのモチーフを繋ぐ橋のような存在です。(演奏)・・・再度フーガ・・・対位法・・・(ニ長調で主題が出てくるところまで演奏)おや?どこかで聴いたことがありますね、でも間違った調です。これは、ベートーベン流のジョークです。迷って帰り道がわからないフリをして、わざと変な方向へ連れて行こうとしています。しかし、とても美しいですよ・・・(演奏)でもまだ帰宅していません。そこで、ベートーベンは探し続けます・・・(演奏)少し近づいてきましたね・・・(演奏)・・ああ、見覚えのある景色です。そしてここの小鳥のさえずりのようなモチーフは、私達を安心させようと『大丈夫、お家は近いですよ』と言っています。そして(演奏)・・・ここがお家です(演奏)・・・などなど。帰宅してからは提示部の時と同じです。」

「さて、このソナタは終わりまでずっと明るくて溌剌としていますね。ですが、第2楽章のアレグレットは言ってみれば『暗雲』です。ヘ短調で・・・(演奏)低音域でのミステリアスなユニゾンで始まります。このユニゾンが4声体の性質へ変化する部分が非常に美しく、変化した瞬間、急に光が差し込みます。(演奏)2つの上層音が互いを真似し合っていますね。スフォルツァンドは常に3拍目ですよ。(演奏)・・・そしてフェルマータ・・・(演奏)第2楽章は悲劇的ではありませんが、メランコリックな楽章です。それにアレグレットですから特にゆったりした楽章ではなく、まるで間奏曲のようですね。(演奏)ほら、このハーモニー・・・『痛み』を感じませんか? スフォルツァンドがあり・・・不協和音です(演奏)それからトリオ(演奏)最初に出てきたミステリアスさと、この穏やかな変ニ長調のカノンのコントラスト(演奏)そのあとまた最初の方へ戻ってきますが(演奏)変奏ですね・・・シンコペーションがあり・・・(演奏)べートーベンは反復ですら、機械的に処理しません。フレージングの違いや変奏もあり、ダイナミズムにも変化がつけられています。」

「そしてこのソナタの最も素晴らしい部分、最終楽章です。どうして(この章を)嫌う人がいるのか理解できませんが・・・コミカルです(笑) (演奏)これに似たものを挙げると・・・みなさんご存知かと思いますが(と言ってインベンション8番冒頭の演奏) とにかく(3楽章のこの部分は)田舎風で、農夫の踊りのようですね。これは4つ目のフーガ風な音形です。これまでに3種類のフーガが出てきました(通常はフーガのあとは何も続かないイメージですが笑) (演奏)・・・ここで初めてフォルテの指示が出てきますね。ここに来るまでは、p(ピアノ)です。なぜか皆、この章を頭からいきなりフォルテで叩き始めますが、それでは面白みが出ないんですよ!(演奏)とても短い提示部の後は、展開部です。調の変化を聴いてみてください(演奏)提示部からバッハ風のフーガでしたが、展開部ではついにフォルテシモへと至ります(演奏)スフォルツァンドが各最終拍にありますよ。とても魅力的な章ですね。ペルペトゥーム・モビレ、無窮動に常に流れていく音楽ですから、テンポを正確に置くことが非常に重要となってきます。それから、提示部も展開部も反復が必要です。疑問の余地はなく、『必ず』ですよ(笑)」
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ピアノソナタ第5番 ハ短調 Op.10-1
2016-10-30 Sun 00:40
Part 1. Piano Sonata in C minor, opus 10 no. 1

今日からは第二回目のプログラムに入ります。「ピアノソナタ第5番 ハ短調 Op.10-1」シフさんのレクチャー内容です。プログラム最初の曲なので再び50分と長いですが、これまでの内容と重複気味な部分が含まれていましたので、支障がない程度に割愛しました。今回は「みんな楽譜どおりに弾こうよ」という愚痴が多めの内容となっております(笑)。またしても非常識なほどの長文ですが、とても良いことをおっしゃっているので、よろしければお時間のある時にどうぞ。

ピアノを弾きながら説明されているので、出来れば音源を聴いていただけるとわかりやすいと思います。



(第一楽章の導入部の演奏から)

「多くの方は数か月前、初期の4つのソナタについてお話した際にも参加されているかもしれませんね。私がこのようにベートーベンのソナタを時系列で順番にご紹介していることについて、賛成・反対の両意見があるかと思いますが、私にとってはどうでもいいことです(笑) なぜなら、ベートーベンのソナタ32曲中ひとつとして駄作はありませんし、私自身このやり方が最善と信じていますので。これが例えば、モーツァルトやシューベルトのソナタだった場合、時系列にこだわることはさほど意味がないかもしれません。特にシューベルトの初期は、理想のソナタ形式というものを(特に主題の反復の仕方など)依然模索していましたから、よってその時代の彼の作品はどこか似通っています。私は無類のシューベルト好きですから、これは批判ではありませんよ。とにかく、シューベルトやモーツァルトの場合、初期・中期の作品を後期の作品と混ぜてご紹介しても意味が通ります。ベートーベンもまぁある意味ではそうかもしれませんが、あえて時系列で作品をみていくことにより、ベートーベンという稀にみる大天才の『進化の過程』を追うことが出来るので、そこに深い意味があると思っています」

「さて、既にハ長調ソナタ Op.10の導入部をお聴きいただきました。第1番でもお話しましたが、当時『マンハイマー・ロケット』という名の、流行のモチーフがありました。そしてそのモチーフは確かにロケット風で、空に飛んでいく感じの音形でした。今時は、ロケットと聞くと大量破壊兵器を思い浮かべるかもしれませんが(笑)、この場合のロケットは破壊的ではないですよ(笑)。それから、(マンハイマー・ロケット繋がりという点で)モーツァルトのソナタの主題とも類似点がある、ともいえます。もちろんハ短調ですね・・・ベートーベンもその調をこれから使うわけですから。これはモーツァルトの有名なハ短調ソナタです(と言って、k457第一楽章の冒頭を演奏)・・・他にもいくつか例を思いつきますが・・・。ベートーベンソナタ2番の主題には、シンプルな形でマンハイマー・ロケットが使われていますが、ハ短調Op.10は、とても厚みのある和音から始まります・・・7声です。(冒頭の和音だけ演奏)では、モーツァルトはどのようにソナタを始めていたでしょうか(もう一度k457の最初の音)・・・ユニゾンですね。モーツァルトのピアノ曲は常に透明感があります。それに対してベートーベンのピアノ音楽へのアプローチは、少し異なっていました。彼の音楽はどちらかというと、拳による音楽です。(演奏)モーツァルトには想像もつかないことです。さらに後になって、シューベルトは・・・(演奏)これはベートーベンへのオマージュですね。」

「とにかく、(第一楽章は)重い和音と付点付のリズムで始まります。スタッカートにも出来たでしょうが、付点付のリズムの方がドラマチックです。そして、素晴らしい対比となる『ため息』のモチーフ、サスピーロが出てきます。ソナタ形式というのは・・・私に言わせれば人類最高の発明のひとつです、特に音楽史上は。ソナタは、さまざまな個性の物語を、いろいろな調やコントラストを駆使して表現することの出来る、最高の手法だと思っています。非常にドラマチックですし、それにソナタと似た音楽形式はいまだ発明されていないと思いますから、近年の作曲家たちが『ソナタ形式の時代は終わった』と思っていないことを願いますね。まぁ今も一部の作曲家はソナタを書いていますから・・・希望はまだありますよ(笑)。」

「このOp.10は前作のほぼ直後(1~2年後)に書かれていますが、ではOp.10とOp.2の間にベートーベンが何をしていたかというと・・・そんなにたくさんはありませんが・・・私が今思いつく限りですと、そうですね・・・チェロソナタOp.5という素晴らしいマスターピースと、弦楽三重奏曲集 Op.9として3曲・・・そのあたりがこの時代の代表作かと思います。しかし、彼のメイン楽器はピアノでした。ベートーベンがOp.7(第3番)を生徒の1人に贈呈しました、というお話は既にしていますが、この頃から徐々に彼のほとんどのソナタ作品は、音楽的パトロンやサポーター達(昨今は『スポンサー』と呼びますね)に捧げられていきます。このような人々の経済的な援助は、ベートーベンにとってもウィーンにとっても非常に重要で、ベートーベンは彼らを頼り、彼らは芸術を陰で支えていました。彼らは、ベートーベンの生徒であったり、音楽愛好家であったりしましたが、『アマチュア』の存在も忘れてはなりません。『アマトーレ』というイタリア語の本来の意味は『愛する人(特に音楽を)』です。それで・・・そうとは限らないということになるわけです、プロフェッショナルの場合は(笑)。ですから、プロフェッショナルも『純粋な音楽好き(といった風な内容をイタリア語で)』だったらいいのに、と思います。」

「さて、ベートーベンがパトロン達に作品を献上したということ、つまり現実的な考えとして楽譜出版が視野にありました。そんなわけで、いくつかのソナタは3部作(op.2のように)という形式で発表されたんですね。これは、醜い言い方ですが『マーケティング』的な発想です。どの時代にもある種のマーケティングはありました。売り込まなければなりませんからね。ですから、ベートーベンもまた実利的である必要があったわけです。出版社というのは、とても実利的な人々でしたから。それから、音楽はアマチュアを含む一般の人にとって手が届くもの、演奏可能なものとするために、少し簡単にする必要もありました。Op.10が簡単だとは決して言いませんが、op.2は特に並外れて難しいです。とりわけ2番や3番は、今日に至っても高い技術を備えたピアニストでないと弾きこなすことが出来ないような難易度だと思います。op.2はアマチュアにとって手が届く範囲を遥かに超えていました。」

「ですから、ベートーベンはまずソナタの構成を見直し、初めて3楽章構成のソナタを仕上げました。Op.10までのソナタは全て4楽章構成でしたから、ひとつひとつが本当に大作でした。そしてこの変更により、一般の人にもやや手が届く範囲となり、また出版社にとっても少し売りやすい作品となりました。ですが、妥協は全くありません。ベートーベンは音楽的な妥協を許しませんでしたから。初期のベートーベンのソナタには、たくさんの反復や熱狂的で誇張された作風が見られました。ベートーベンは、いくら作りこんでも作りたりない感覚があったのかもしれません。いずれにしても、それらは全てとても音楽的ですから、1分1秒たりとも『長すぎる』とは思いませんが。『長すぎる音楽』なんて存在せず、単に『短すぎる根気』をもつ人々が中には存在する、というだけのことです笑。」

「しかし、私がいわんとすることが伝わりますでしょうか? 作曲家が曲を作る上での『進化』の方向性のひとつとして、重要な鍵となるのが『(作曲上の)倹約』だろうと思います。そういった意味で、このソナタはより濃縮され、すっきりと明快に繋げられていると言えるでしょう。では、もう少し演奏してみましょう。・・・お話ばかりでは、みなさん退屈でしょうから。」

(演奏)

「とてもドラマチックな静寂ですね。これはフェルマータではありませんし、アドリブでもありませんから、気が済むまで間を置くというわけにはいきません。きちんと(休符分)拍を数えなければいけませんね。残念ながら、ベートーベンの演奏した音源は存在しませんが(あったらいいなと思いますけれど)証言者はいますね。良い証言者や偽りの証言者・・・聖書のようにね(笑)そして良い証言者いわく、ベートーベンの演奏は他には真似できないほど達人的で、常に正確なリズムと拍感を持ち、しかし決して機械的ではなく、完璧な速度の中でテンポを自在に変化させたりしました。もちろん、反体制的なニュアンスではなく。」

「ですからこの部分の・・・(演奏)ドラマチックな緊張感は、インターバルによって作られています。ここで言うインターバルとは、コンサートなどにある『休憩時間』とは違いますよ。2つの音の隔たり、音程のことです。(演奏)それから、新しい要素が顔を出します。(演奏)ところで、ベートーベンの残した指示を守ることは非常に重要です。ベートーベンは、とても厳密な注意書きを楽譜上に記した最初の作曲家です。私の記憶が確かならば、およそ14作品分の初稿が残っています。残念ながらこれら(4番)は含まれませんが、かわりにベートーベン監修の初版楽譜が信用できます。監修時のベートーベンは、出来る限り出版社と密に連絡を取り合い、印刷状態を注意深く管理しようと心がけました。そして例えばこの音・・・(演奏)ミ♭はp(ピアノ)と指定されていますが、まるでホルンの音色のようです。ホルンという楽器は、『ポーン』と一度発した音をのちに取り戻すことができますね。」

(既に前出の話題部分を割愛)

「それからこのピアノソナタの中に、弦楽四重奏的な質感をみつけることも出来ます。例えばこの小節・・・(演奏)美しい4声ですね。このあと転調します(演奏)私達はハ短調から出発しましたが・・・そもそも音楽には3つの主要和音というのがあって、トニック(演奏)これがハ短調ですね。ドミナント(演奏)これですね。そしてサブドミナント(演奏)・・・で(演奏)トニックに戻りました。とにかく、第2主題が提示される時点で、平行調(変ホ長調)へと移動します。ベートーベンはソナタ形式の作曲工程において、常に新しい形の『解決』を実験・模索し、けっして決まった型にとらわれませんでした。ですから、第2主題を属調にしたり、時には中音だったり、ある時は平行調で書いたりしたわけです。そして今回は(演奏)平行調の変ホ長調です。これがトニックでしたね(演奏)そうして第2主題が始まります」

(演奏)

「とてもアジタート・・・この章全体が煽動的ですが、ハ短調にはもともとそういった性質があります。特にベートーベンの場合はね。ベートーベンは、この調を使って全部で3つもソナタを書いていますから、恐らくとても好きな調だったんでしょう。(ハ短調を使った)その他の作品例としては『交響曲第5番』や『ピアノ協奏曲第3番』などが挙げられると思いますが、これらにもキャラクター的な共通点がみられます。

それでは、次はどんなことが起こるでしょうか?(演奏)再度出てきた、大きな跳躍・・・(演奏)とてもオペラ風です。(演奏)ベートーベンがこのようにユニゾンで書くと、機械的ではなくむしろ豪華です。そしてまたしても厚みのある重い和音と、第1主題にもみられた付点付きのリズムが現れます。覚えていますか?(第1主題の出だしを演奏)つまり、第1主題と第3主題(第2主題の発展形)は、音楽的に関連付けられているということですね。(コーダの手前まで演奏後)そしてエピローグ的、お話の終焉部分です。ここもまた、このようなバリトンの半音階進行のため、極めて煽動的と感じられると言えるでしょう。(演奏)」

「そして、提示部がここで終わり『反復』の印が出てくるわけですが・・・。申し訳ないけれど、これに関しては独断的な意見があります。思うんですけれど・・・ピアニストの多くは『(反復記号のところで)反復するかどうかを自分で選べる』と思っているみたいだけれど・・・。ベートーベンの作品には一貫性があり、(特にこの作品から先は)ある場所は反復し、他はそうしない。そして、音楽を解釈する側としては、本当にまずは作曲家を信じなければなりません。(変更を加えるといったような)選択権は私達にないと思います。そうするには、私達はあまりに『小さな存在』です。それに、もともとこの楽章は非常に短いですし・・・常に作曲家の指示に従うべきです。なぜなら、彼(ら)は完璧な音楽的配分感覚を持っているからです。ですから、この作品のように提示部は反復指示あり、再現部はなしとあるのに、仮にここを勝手に反復しないとなると、突如として全体のバランスが壊れてしまいます。そして、それはあきらかにベートーベンの望むことではありませんから、もし表現者が自分の好き勝手にしたいなら、自分のソナタを書くべきです。この作品で、ではなくね(笑)」

「ということで・・・提示部が終わると(少し演奏)大きな感嘆符と共に長調のトニックへ戻ります。これは大きな『衝撃』です。(演奏)大きな10度の跳躍のあと、とても美しいことが起こります。初めて使わるサブドミナント、ヘ短調の新しい主題です。(演奏)これは、全く新しい要素ですね。初めて聴きましたし、のちに繰り返されることもありません。再度触れますが、ベートーベンのダイナミクスやフレージング・・・どこにアクセントを置いて、どこをクレッシェンドするかなども含めての指示を守ることは、とても大切です。多くの演奏家は・・・私は先生ではありませんけれど・・・人々は本当にこれらを守りません。たいてい『だいたいの感じ』で弾いています。たとえば、ここは・・・(演奏)クレッシェンドなし・・・(演奏)そしてクレッシェンド・・・(演奏)ディミヌエンド・・・(演奏)・・・そして大きなクレッシェンド・・・(演奏)・・・ディミヌエンド・・・(演奏)クレッシェンドなし・・・とこのように、本当はとても複雑です。2つのフレーズは左右対称ですが、ダイナミクスによってそれぞれ変化がつけられているのです。」

「そして(演奏)変二長調、ナポリタン調です。元の調、へ短調から短調2度上がっていて(演奏比較)・・・とても奇妙な響きですが(演奏)ベートーベンはこの奇妙さをわかっていたからこそ、ピアニッシモにしました。”senza colore”無色調な感じですね。そして次にベートーベンは『出口』を探します。(演奏)そしてハ短調へ戻ってきますが、まだ終点ではありません。既に『帰宅』したような気分になりますけれど、さらにドミナントを繰り返し・・・引き伸ばされたドミナントですね(演奏)”secco”とても乾いた感じで、徐々に柔らかく変化し(演奏)そして(最終和音の演奏)これが帰宅点、非常に強い調子での拒絶です。」

「第2楽章は、がらっと変わってアダージョ・モルトです。ただアダージョ、アレグレットなどとあった場合は『普通のテンポ』となり、例えば2分の4拍子のアダージョという表記だとしたら・・・ええと、これに関してはチャールズ・ローゼンがベートーベンについての著書で詳しく書いていますが・・・メトロノームで4分音符=72ほどと言えますね。しかし、もし普通のテンポではなくて特定のテンポが欲しい時には、さらに言葉を加えます。ですからこの場合『アダージョ・モルト』となるわけです。これは非常にゆったりとした楽章です。(第2楽章の冒頭を演奏)またしても弦楽四重奏的な質感があり、厳粛かつ穏やかですね。この最初の8小節のあと、主題の変奏が始まります。16分音符を伴奏に(演奏)ここが段落の最後となり、そして第2楽章の主題です。(演奏)

その後、煌びやかな新しい要素が始まります。(演奏)ベートーベンは装飾音を駆使して(演奏)と大きな跳躍の前の音にも、装飾音がみられますね。そして、p(ピアノ)で回答がありますが、フォルテシモでの感嘆符に対する回答ですから、とても幅広いダイナミズム・コントラストといえますね。エトヴィン・フィッシャーというスイスの素晴らしいピアニストは、この部分とバッハのパルティータ第6番との間に類似点があるといっています。私もリズム的な類似点があると思いますね。リズム以外は違いますが・・・なぜならバッハは(パルティータの一部演奏)このようにリズム的な類似性があると思います。それから、その後バスがとってかわり(演奏)ドミナントへ到着します。この緩徐楽章はソナタ形式ですが展開部がありません。第2主題があらわれ(演奏)・・・ここからですね・・・(演奏)非常に装飾性が高いです(演奏)ベートーベンはご丁寧に64分音符や128分音符という非常に細かい音符を書き込んでいますから、彼が面倒くさがり屋だったとは言えませんね(笑) ところで、現代のピアノですら高音域の弦は短いですから、ベートーベンはいつも『ピアノが十分に歌わない』と『もっと長く音を保てないものか』と愚痴を言ったそうです。」

「演奏者はここで歌手を想像しなければなりませんね・・・(演奏)・・・そして変奏されて・・・(演奏)ここまでが提示部、属七の和音だけが鳴らされすぐに再現部に入ります。第2主題と第3主題の違いはトニックであることですね(第2はドミナント)。そこから最後の美しいコーダへと続きますが、そこで再度、ベートーベンの変奏技術の高さを賞賛することが出来ます。(演奏)彼の内側から発する温かみ、モーツァルトやハイドンなどのピアノ音楽とは一味違う、彼独特の豊かさを感じることが出来ます。そしてこの章は、最低音域のピアニッシモで静かに幕を閉じます。」

(第3楽章の冒頭を演奏)

「(第三楽章は)『普通のテンポ』でもアレグロでもプレストでもない『プレステッシモ』、非常に速いテンポです。Op.10をみると、ベートーベンは心理学に基づいてソナタを組み立てているとお分かりになると思います。つまり順序不同に楽章を並べているのではなく、ひとつひとつの楽章がそれぞれから発展して広がっていきますね。ベートーベンのソナタというのは・・・第1楽章の第1音から始まり最終章の最後の音で終わります。ですから、演奏者が第2楽章と第3楽章の合間にハンカチを出して汗を拭き、その間に観客は一斉に咳をして・・・などとやるのが一番酷いですね(笑)。なぜなら、そうしている間にせっかく積み上げた緊張感は消え去り、ベートーベンの意図した連続性を失うことになるからです。」

「とにかく、プレスティシモのピアニッシモでのユニゾンから始まります。とてもミステリアスで薄気味悪い雰囲気ですね。ここで、いくつか別のベートーベン作品と比較して考えてみましょう・・・(演奏)トリオOp.1-3ですね。全て、ピアノまたはピアニッシモのユニゾンから始まるという共通点がみられます。しかし、フォルテシモのユニゾンから始まる作品も中にはあり、同じくハ短調の・・・(『運命』の冒頭フレーズ演奏)という例もありますね。あとで少し出てきますが・・・実は『運命モチーフ』はこの章の中で初登場しますので。それではもう少し演奏してみましょう。(演奏)再度大きなコントラストですね。第2主題、片や非常に細かく複雑なパッセージがあり・・・ところでスフォルツァンドは2拍目だということを忘れてはいけませんよ。(演奏)ドラマチックで悲劇的な音色から、突如コミカルに変化し(演奏)ここは非常に可笑しいです・・・まるで何かを『訂正』しているような(演奏)そして、蒸発し無と化す。提示部の終わりはp(ピアノ)の中でのスフォルツァンド。そしてここまでを繰り返しです・・・(忘れないようにしなくちゃ、と冗談)。」

「展開部は非常に短いです。演奏してみますね(演奏)・・・ということで、ここですよ・・・(『運命』のフレーズに似たモチーフ)・・・ほんの数小節だけで(演奏)主題を繰り返した後・・・2つの小さな疑問と、大きな疑問です。疑問符が目に浮かぶようですね。(演奏)そしてここで答えが出ます(演奏)ソナタ形式で、第2主題と第3主題はトニック、そしてコーダがきますが・・・この点がとても重要なのですが、ベートーベンはこのソナタを型破りな形で終了します。(演奏)・・・フェルマータですね、好きなだけ伸ばしていいですよ。変二長調のドミナントでナポリタン(演奏)・・・そして第2主題をナポリタンで(演奏)リタルダントでテンポを落とし、アダージョへ・・・(演奏)ここ素晴らしいですね。既に『テンペスト17番』を想起させます。そしてテンポを戻します。(演奏)

ベートーベンは、ふたつの主題要素を合わせて、ディミヌエンドで減速もせずに消え去ります。劇的ですが(私達の予想を裏切って)特に豪華絢爛ではありません。ベートーベンの尊敬すべき点は『効果』を期待してソナタ作らないということ。ですが、私がこの作品を演奏して盛況だったためしがないんですよ(笑)。これですとか、Op.10-3(第7番)という素晴らしいソナタにもいえることですが、客席は大きな音で締めくくるほど拍手するという傾向があるんです・・・まぁ、あなたは違うかもしれませんけど(笑) とにかく、これほどまでに型破りで慎ましい終わり方はありませんね。」

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ピアノソナタ第4番 変ホ長調 Op.7
2016-10-29 Sat 00:46
Part 4. Piano Sonata in E-flat major, opus 7

第一回目のプログラムより「ピアノソナタ第4番 変ホ長調 Op.7」シフさんのレクチャー内容をお送りします。プラグラムは4曲構成ですので、ここまででやっと一日の講演分です。すごい情報量ですね。笑 4番に費やされた講演時間は26分程度、お話自体は少なめで、最後は第4楽章の演奏で締めくくられています。最後演奏を始める前に thank you for your patience. と、照れたような声で言っているのが印象的です。こういった表現を日本語に訳すのは難しいなと常々感じるのですが、言わんとすることは「ご静聴ありがとうございました」といった感じで「演奏させていただくので(長いけど)辛抱強くお聴きくださいね」という牽制も匂わせた謙遜的な表現で、なかなかうまいなと思いました。笑 もちろん、プログラム全体について「長話につきあってくれてありがとう」という意味も当然含まれていると思います。


さておき、今回もピアノを弾きながら説明されていますし、最後には素晴らしい演奏も聴けますので、出来れば音源を聴きながらどうぞ。




「これからお話する4番目のソナタは、私からみると・・・知られていないとは言いませんが、見過ごされている名作だと思います。op.2からわずか2年後に発表され、op.7となりますがバベット・ケグレヴィチ伯爵夫人(babette keglevich)に贈呈した作品とされています。彼女の詳細についてはあまり知られていませんが、数多くいたベートーベンの生徒のひとりで、きっととても才能のある素晴らしい演奏家だったんでしょうね・・・・このソナタは信じられないほどの技術を要求する、難しい作品ですから、理解して演奏するためには。またしても4部構成の、とてもボリュームのあるソナタです。ハンマークラヴィーア(ソナタ29番)を除いてこれよりも大きいソナタは見当たりません。そして本当に並外れた個性と奥行きを持つ絶妙な作品です。導入部を演奏してみましょう。

(導入部演奏)

「まるで『新しい言語』のようですが、(op.2が書かれてから)たった1~2年後の作品です。ベートーベンは、テーマとして別段印象的な旋律を配してはいませんが、この・・・(左手パートの連打演奏)8分の6拍子の『モルト・アレグロ・エ・コンブリオ』ですので、活気に満ち軽快な様子ですね。そして、繰り返されるミ♭は、まるでホルンの音色のようです。ホルンはこういった「パッパッパッパッパッ」という連続的な短い音を出しますからね。それから、逆方向へ向かうスケールを上下しながら・・(演奏)サブドミナントへ向い・・・(演奏)ドミナントへ到着後、そこで初めて旋律的なテーマが出てきます。(演奏)素敵なテーマですよね、大好きなんですよ・・・だってまるで・・・♪イッヒ リーベ ディッヒ イッヒ リーベ♪ (ドイツ語で突然歌う:笑)たぶん、ベートーベンは恋していたんじゃないですか、このバベットさんに・・・知らないけど(笑)」

「さて、そしてどちらかというと短めの展開部へと続きますが(op.2の展開部は長い)とてもドラマチックです。(展開部の一部を、アクセントに掛け声を足しながら演奏)ベートーベンの書く『リプリーズ(反復)』要点の繰り返しは、機械的なものではなく常に何か違っています。導入部での主題はp(ピアノ)で始まりましたが、それが意気揚々とフォルテシモで戻ってきますね。そして、またしても連続的な16分音符が聴いて取れると思いますが、旋律だけではなくこういったリズム的なパターンもモチーフになりえますよ。そして・・・(続きを演奏)懇願しているような旋律、非常に素晴らしいですね。この楽章の最後はオーケストラ風で、ティンパ二やドラムロールが聴こえてくるかのようです。」

(第一楽章の終わりから続けて、第二楽章の冒頭を演奏)

「私に言わせれば、この第2楽章は音楽史上もっとも美しい緩徐楽章のひとつです。『ラルゴ、コン・グラン・エスプレッシオーネ』 もうこの記載からして秀逸さがうかがえます。3度の関係調(ハ長調)にあたりますが、最初は変ホ長調でしたから(ふたつのハーモニーを弾き比べて)・・・これもまた、シューベルトが後に使いたがりそうな響きですね。そしてこの音楽の新しい点としては、成熟味を増した非凡さにあると思います。そして、それをベートーベンは『静寂』により成し遂げました。繰り返しますが、休符が極めて重要です。(演奏)・・・とこんな風に続くわけですが。これはABA形式で、中間部はというと、2番にもみられたように(二重構造で)ピチカートを伴奏にして、その上をコラール風の音楽が流れていきます。(演奏)・・革命的な新しい響きですね。そのあと、非常にドラマチックな反語的質問系がきて(演奏)・・・震える小鳥のようなピアニッシモが応答し、そしてそれに対してベートーベンは・・・ふたつのソのオクターブのところへ『クレッシェンド』の指示を書きました。ベートーベンは、これが不可能な要求だとわかっていたはずです。なぜなら、私にはこのクレッシェンドは出来ません・・・こうやって立ち上がりでもしない限り(笑)。ですから、ここはなんとかしてクレッシェンドのごとき幻影を生み出さなければなりませんね。ベートーベンは妥協と言う言葉を知らない人でしたから、不可能なことを要求するのです。そして、この章の終わりは・・・(演奏)」

「そして続くスケルツォの第3楽章だけは、他と違ってダウンビート(表拍)から始まります。そして非常に叙情的です。(冒頭を演奏)『シューベルトはベートーベンで、ベートーベンはシューベルト』といった印象ですね。中間部のトリオが素晴らしいですよ。変ホ短調で、とてもドラマチックです。ピアニッシモの中に、突然のスフォルツァンドです。(中間部の演奏)・・・まさにシューベルトといった感じですね・・・(演奏は続く)こういったところにも関係性がうかがえますね。」

「最終楽章(第4楽章)は(ベートーベンの作品の中だけの話ではなく)全体でみても最も豪華な旋律をもつ『ロンド・ポコ・アレグレット・エ・グラッツィオーソ』です。(提示部の演奏)今の部分が、後で繰り返されるロンド主題ですが、これはソナタロンドなので調を変えたり別要素を含んだ形で再現されます。そして、ソナタ2番でもありましたが、ここでも『美女と野獣』が登場します。(演奏によるキャラクター比較)64分音符を伴奏に、とても厚みのある強い和音がフォルテシモで演奏されます。非常に基本的なものが、洗練された音形に合わせられています。それから、終盤に向かって素晴らしい瞬間があり、それが変ホ長調から遠隔調にあたるナポリタン調のホ長調への転調部分となります(コーダ)。もしベートーベンがハイドンの弟子でなかったなら、こんな風には書かなかったはずです。なぜなら、ハイドンの最後のソナタを知っているかと思いますが・・・(ハイドンソナタの演奏)・・・これが最初の楽章で、第2楽章は・・・(演奏)・・・ホ長調です・・・とても遠隔調ですね。ですから、ベートーベンがどのようにしたかというと・・・(演奏)ホ長調の上に漂っているかのようで・・・(演奏)それから後退して、変ホへ戻り・・・(演奏)・・・それから野獣への繋がりがありますが、野獣は飼いならされて友となり、ベートーベンからの別れの言葉へと繋がっていきます(演奏) それでは最後に、この第4楽章を皆さんのために演奏させていただきましょう。」
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ピアノソナタ第3番 ハ長調 Op.2-3 
2016-10-28 Fri 00:30
Part 3. Piano Sonata in C major, opus 2 no. 3


第一回目のプログラムより「ピアノソナタ第3番 ハ長調 Op.2-3」シフさんのレクチャー内容をお送りします。今回の講演もボリューム的には21分です。時々、シフさんが抑え切れずに鼻歌を歌うところがすごく楽しそうで、好きです笑 実は、シフさんが説明に使う音楽用語を理解するのに、和声のお勉強が微妙に役立っていて嬉しいです。それと、タイトルを遡って全て日本語表記に変えました。その方があとで読む方が探しやすいかな、と思ったので。それと次回からは、限定記事にするかもしれません。

さておき、今回もピアノを弾きながら説明されているので、出来れば音源を聴いていただけるとわかりやすいと思います。





「3番目の作品は、とてもよく知られたソナタです。調性はハ長調・・・特に変わったことはありませんね。そして、第1楽章は4分の4拍子で『アッレグロ コン ブリーオ』と指定されています。普通のアレグロではなく、活気がある元気のよいアレグロですね。そして、ものすごく可笑しいです・・・いや、わたしにとっては(笑)。(提示部の途中まで演奏)活力のある素晴らしい作品ですね。ソナタの中ではあまりみることのない、ピアノ協奏曲風のカデンツァが置かれています。一般的に、こういったカデンツァはオーケストラが止まった時に(・・・といってピアノ協奏曲的カデンツァのモノマネ演奏)。しかし、ソナタとしては一風変わっていますね。ですから、このユーモア溢れる楽しい冒頭部分(またしても弦楽四重奏的です)の後に疑問符があります。これはまるで『大きな期待感』のようですね。(主題を再び演奏)そして、今の部分が弦楽四重奏のソロだとしたら、この後全体が加わりトウッティ(総奏)となります。とても明るい音楽で、全く不機嫌さやくすんだところは感じられませんね。とはいえ、ベートーベンはこの章でいろいろなテーマを使っていて、旋律的および主題的発案をしています。先ほどはここまででしたね(少し演奏)その後はこんな感じです(演奏)。今の部分が提示部です。ほとんど説明する必要はないと思えるほど、様々なテーマのキャラクターが聴いてとれますね。歌っていたり・・・ここはとても可笑しいテーマです(トリル風なところを演奏)。まるでガボットのようですね(ガボットのリズムを鼻歌)そして、協奏交響曲風なファンファーレで幕を閉じます。」

「では、展開部を少しご紹介しましょう。なぜならここは、何年も後に書かれるピアノ協奏曲第5番『皇帝』を、すでに見据えている感じがあるからです。(演奏) さて、とても遠い調にたどり着きました。そしてまた大きなカデンツァです。本当に『皇帝』を思い起こさせますね。そして、ベートーベンは主題を(主音から数えて)4度の調(二長調)で再登場させます。ところで、いかに休符が重要であるかを再確認することができます。少なくとも、休符は音符と同等に重要です。・・・ここウィグモアホールの観客のみなさんは、素晴らしく聞き上手です。なぜって、誰も休符のところで咳をしませんから(笑)。だって、想像してみてください。演奏していて・・・(といって演奏しながら、休符のところで咳をするシフさん笑)・・・こういうのはあまり・・・よろしくないですね。とにかく、そしてベートーベンはこのモチーフに肉づけをしていきます。(演奏)いつもスフォルツァンドで・・・こういったスフォルツァンドは真面目に受け止めなければなりません。よくアイロンがかかったような、角を丸めたような演奏を耳にしますが、それは大きな間違いです。ベートーベンは決して滑らか作曲家ではありません。彼は水彩画家というよりも、むしろ素晴らしい彫刻家です。ですから、大理石や御影石の表面のように。」

「そして次は・・・(カデンツァについてはもうお話しましたが)四六の和音で止まった後、完全形として書き出したカデンツァが小さな音符でずらっと並んでいます。そして(233小節目のの下降スケールを弾いて)ここ、おもしろいですね。オペラのパロディのようで、プリマドンナが「あぁぁぁぁ~♪」と歌っているみたいに。ですから、この部分はあまり速く弾かない方がよいでしょう(といいながら再度弾き、プリマドンナ風に鼻歌)。私の良き友人で同業者のアルフレッド・ブレンデルは、音楽にみるユーモアについて書いていますが、このソナタはその良い例です。」

「第2楽章は、『アダージョ』とだけ記されていますが、もちろん普通のアダージョではなく、非常に秀逸な楽章です。ホ長調ですね。(演奏)見事な平静さ、静寂さがあり、ここで再度休符の存在が非常に重要になってきます。これは反語的問いかけですね。そして疑問につぐ疑問を投げかけながら、常に同じハーモニーで止まっていますが、奇跡的にも単調さを全く感じさせません。(演奏)・・・トニック、ドミナントの形を4回聴きましたね。それから、半音上がって(続きを演奏)シンコペーションと共に・・・(演奏)女性的カデンツァですね・・・(演奏)疑問の投げかけがあり・・・(演奏)・・・そして、当然これ(トニック)を次に予期しますが、しかし音楽というのは常に『予期』と『驚き』です。

という風に考えると、次に来る新しい部分も非常に優れていますね。短調のピアニッシモ・・・(演奏)まるでバッハのいた世界を振り返っているようです。(平均律1番前奏曲の出だしなどを演奏して共通性を示唆)バス音はオルガンのようで、その上に形成される旋律の破片(演奏)。さて、ト長調へ到着しました、平行調ですね。新しいモチーフはソスピーリ『ため息』のテーマです。(演奏)ピアニッシモから・・・フォルテシモ。この、同じモチーフをフォルテシモで爆発させる部分は、シューベルトの未完成交響曲を彷彿させます(といって少しシューベルトを演奏)・・・またしても偶然ではないですよね(笑)」

「それで、このゆったりした楽章はいくつかの変奏を含んだABABA形式を取っていますね。ベートーベンは絶妙な変奏の達人で(もちろんハイドンの影響もありますが)ディアベリ変奏曲のことだけを言っているのではなく、彼のさまざまな主題や装飾の仕方など、単に見たとおりの印象とは違った『変装』をして現れます。」

「次にくるスケルツォの章(第3楽章)は、再びユーモアのある章です。おわかりのように、メヌエットとトリオと記された3楽章はたくさんありますが、この時点では既にハイドンが『スケルツォ型の第3楽章』というのを編み出していました。スケルツォ・タイプは構成的に規模が大きめで、なおかつ速めの3楽章です。(第3楽章をすこし演奏)・・・少しハイドンっぽいですね。戻るポイントを曖昧にして、まぁ好きなだけ永遠に繰り返してもいいんですが・・・。しかしスフォルツァンドはいつも3拍目に置きますよ。そして、これはp(ピアノ)の中でのスフォルツァンドですから、とてもさりげない感じです。この楽章のトリオは平行調の短調、イ短調ですね。(トリオの演奏)嵐のようですね。テンポの変化はありませんよ。それから、ベートーベンはフォルテとは書いていませんから、どうして多くのピアニストたちはここをフォルテで弾くのか、理解に苦しみますが・・・ここはp(ピアノ)ですよ!(笑)ベートーベンが本当に(フォルテと)書くまではね」

(演奏)

「これは大きなスケールのスケルツォですから、ベートーベンはコーダを加えました。そして、それはまたユーモアがあり、スケルツォはこのような(演奏)下向きの跳躍で終わりますが、彼はそれを(コーダに入ってからも)継続し(コーダを完奏)・・・という風に場面から消え去ります。」

「最終楽章(第4楽章)は、大方において直球なアレグロ・アッサイ、非常に速いです。そして再度、ユーモアがあります。(演奏)演奏者のよくある間違いとして、この楽章を速いテンポで始めすぎて9小節目に来た時に減速してしまいます。音符がたくさんありすぎますからね(笑)ですから、演奏者はテンポを考慮する時に、一番小さい音価を設定基準として置くことがとても大切と言えます。そうすれば、賢くアーティキュレーションもつけられますから。ということで、これはロンド形式の素晴らしい楽章です。ひとつだけ付け加えておきたいのが・・・(演奏)ここのパッセージとブラームス作品の類似点についてです。(ブラームスを少し演奏後)これも『泥棒』のひとつですが・・・しかし、深刻ではないものです(笑)。以上で3番を終わります」
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3年と2か月。
2016-10-27 Thu 08:29
ゆにくあです。


今日はレッスンでした。
ちょっと疲れているので、短めに書きますが・・・



インベン8をレッスンでみてもらったのは今日で3回目
かな。・・・先生の好みのテンポで弾けたので終了。
(次はどれやるのか、まだ決めてません)

夢は、正直『こんなもんだろう』というレベルにしか
仕上がっていませんが・・・これも終わりです。
私としては、寝かせてあとで解凍してもいいかな。

悲愴3楽章については、1か所リズムを修正された
ところがありましたが、レッスン中に理解して直せた
のと、他はまぁOKということもあり、これで終了です。

「頑張って速いテンポを保とうとしてたけど
ところどころタッチが重くなっていたわね。
今、弾いたテンポからほんの少し落として、
それをしばらくの間は上限に。」

という苦言付きです。


とりあえず
(チャイコ以外)全部終わってしまったので、
次はどうするか、という話になり

「モーツァルトが弾きたいです!」と言ってみたけど
   ↑
 (いや毎回言ってるけど)

「モーツァルトに限らず、怪我してる時に
テンポの速い曲はやめておきなさい」と却下され、
・・そういわれてしまったら、自発的に練習してる
モーツァルトがあるとは言い出せなくなり(笑)


「それより、あれやったら? 17番」

「先生、それテンペストです」


・・・テンペストも速いと思うんだけど・・・


先生「息継ぎする所があるから大丈夫よ」


(これ、前に聞いた気がする)




・・・それで、来月はホリデーがあるので
お互い忙しくて、中旬に1回だけレッスンって
感じになると思うんですが、

ゆにくあ「17番、1楽章でいいですか」

先生「3週間もあるし、2楽章もできるなら
2楽章も。それでも時間があったら3楽章も。
あなた譜読み好きだし、それに・・・
どうせ他にやることないでしょ



・・・ないといえばないし。
・・・あるといえばあるし。




先生おすすめの、ギレリスさん。


3楽章こうして聴くと、バッハっぽい。


癒し
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ピアノソナタ第2番 イ長調 op.2-2
2016-10-27 Thu 06:47
Part 2. Piano Sonata in A major, opus 2 no. 2


引き続き、第一回目のプログラムより「ピアノソナタ第2番 イ長調 op.2-2」シフさんのレクチャー内容をお送りします。前回の音源は40分にも渡る長い講演でしたが、今回の内容は20分以下です。少し日本語に変換しづらいところがあったので、そのあたりは意訳にしてありますが、ニュアンス的には大きくは逸れていないと思います。。それと、シフさんがあまりにも同じ言葉を何度も使うので(笑)、割り当てるべき日本語のバリエーションが尽きた部分もありました。ピアノを弾きながら説明されているので、出来れば音源を聴いていただけるとわかりやすいと思います。








「雰囲気はうって変わり、とても明るいイ長調。こんな風に始まります(と冒頭を弾く)。とても愛らしく、まるで森の中にいるようで『クックー クックー』といった鳥のさえずりのようにも感じますし『問いかけ』と『応答』のようでもあります。ここ一帯が大きなクエスチョンマークのようではありませんか? そして、音楽は本題へと移ります」

(第一楽章導入部の演奏)

「・・・と、ここまでが導入部です。素晴らしく新鮮なソナタで、滅多に演奏されないのは残念なことです。理由はわからないけれど、たぶん難しいからでしょうか・・・これはとても難易度が高い作品だと思います。それから重要なのは、op.2でベートーベンが計画的に、最初の作品(ソナタ1番)をドラマチックに、2つ目(2番)は即座に叙情的かつ柔らかに、そして3つ目(3番)はご存知のとおり非常にみごとな、まるでピアノ協奏曲のようなコンサート・ピース、なおかつユーモアに溢れた作品に仕上げた点です。ですから(op.2を総合的にみると)ドラマ・叙情性・そしてユーモアという構成のトリオ(3部形式)になっているとうことですね。だからこそ、私はこのop.2の3作品をバラバラに分けたりせずに順番に弾きたいと思いますし、そうすることにより、これらの作品郡のもつ多様性をみなさんにご紹介出来るかなと思っています。バラバラに弾いてしまったら、はっきりと意図が伝わりにくいですから。」

「まず、主題からの転調部分には極めてずば抜けた素晴らしさがあります。なぜなら、この部分のベートーベンはハイドンを振り返ったりせずに、むしろシューベルトに進むべき道を示しているかのようだからです。まず以下の点に触れておきたいのですが・・・シューベルトは、ベートーベンをとても崇拝していました。特に後期のシューベルトの作品をみると、初期のベートーベンの作風によく似ている部分がありますね。もちろん、ベートーベンの後期のソナタはまだ発表されていなかったので、それらをシューベルトが知ることは出来ませんでしたけれど、初期の作品については知り尽くしていました。そして・・・

(と言ってまず和声進行、そして楽譜どおりに転調部分を演奏)

「以前、ドナルド・フランシスという素晴らしい音楽理論家が教えてくれましたが、この部分は後期の作曲家たちにとってとりわけ重要な、素晴らしい転調方法の具体例のひとつとして数えられるということです。

そして、その次に現れるのが(・・・わずかな演奏後)これはベートーベンが初めて『運指』を楽譜に記載した場所のひとつですが、これがとんでもない運指で全くもって実行不可能です。ベートーベン時代の鍵盤は、やや幅狭だったので出来たのかもしれませんけれど、私は試してみようとも思わないですね笑。もちろんベートーベンのことは本当に尊敬していますから、彼の指示はひとつ残らず守るように心がけていますが・・・この運指はないですよ、申し訳ないけれど。私にとってアイドルであり、よき指導者のひとりでもある名ピアニスト、ルドルフ・サーキンもまた、ベートーベンの残した全てのことを真摯に受け止めてましたけれど、その彼はこのソナタを一度も演奏しませんでした・・・この運指のせいで。ですが、演奏しないのはとてももったいないことだと思います。たったそれだけのためならね笑」

ええとそれでは、時間切れになりたくはないので・・・。ここまでに導入部をお聴かせしましたね。続く展開部はひどく複雑です。少し弾いてみましょうか。(展開部を少し演奏)かなり叙情的でドラマチックですね。そして(続きを少し弾いて)・・・もうほんとに・・・これだから、みなさん演奏されないんですよね、本当にすごく難しいです。さておきこの後はまた戻り、そこからは特に変わったことはありません。」

「第2楽章も、本当に非凡な素晴らしさです。ソナタ1番の(第2楽章の)場合は、むしろ型どおりのアダージョでしたが、この第2楽章は『ラルゴ・アッパッシオナート』という指示です。後に手紙やメモの中で語っていますが、ベートーベンは音楽用語のイタリア語表記に対して、徐々に不満を持ち始めていました。使いづらいと言ってね。イタリア語がしっくり来なかったんですね。ですから後になって、それらをドイツ語に訳して使い始めました。それからのちメトロノームを発見しますが、ベートーベンはとりわけ楽譜に記載する演奏上の注意書きについて、(どうしたら自分のアイディアをわかってもらえるだろう)と、いつも気にしていました。」

「とにかく、『ラルゴ』はアダージョよりもさらに広々とゆったりしていることは、音楽用語の規定からも理解していますね? そして『アッパッシオナート』は情熱的に、という意味です。この並外れた素晴らしさをもつ第2楽章は、弦楽四重奏と重ねることも出来ますが、さらに発展させて考えてみると・・・まずバスは16分音符でその後16分休符があり、チェロかコントラバスのようなピチカートが出てきます(といって演奏)。弦楽器が弾かれているような感じを想像出来ます。そしてその上をいくのは、3つの弦楽器・・・とも取れますが、私には3台のトロンボーン、3台のミュートのかかったトロンボーンのように感じられます。これらが合わさると真に素晴らしい響きです。彼はセンプレ・テヌートと記していますから、(和音進行は)常に繋げてレガートで、バスはセンプレ・スタッカートですから、全てを切り離します。しかし、これらを鍵盤上で再現するのは大変難しいことです。なぜならペダルが全てを台無しにしてしまいますから。・・・つまり足(ペダル)ではなく、指だけで成し遂げなければなりません」

「考えてみれば(ハイドンやモーツァルトと比較した場合)これら響きは全くもって新しいものです。より響きが豊かになり、比率配分も異なっています。ベートーベンはダイナミクスも変更して音量的にも発展していき、まるでブラームスのようにも私には思えます。ピアニッシモからフォルテシモへと膨らみ(音の)豊満さをつかさどるエレメントもあり・・・ですからこれは音楽史において、とても新しい発想と言えるでしょう。

ところでブラームスもまた、ベートーベンを大尊敬していましたから、例えばチェロソナタ ヘ長調・・・(部分的にブラームスの演奏)この部分のフレーズなど、巧妙に『拝借』していますね。もちろん、何も悪くはないに違いないとは思いますが。この章の後、アレグレット・スケルッツォの章が登場します。非常にチャーミングで優雅です。」

(第3楽章の冒頭を演奏)

「シューベルトはこの楽章を大変好んだと言えるでしょうね。なぜなら、シューベルトの後期ソナタ イ長調をみてみると・・・(シューベルトのソナタの一部と、3楽章のさわりを比較演奏)ひどく明らかだとは思いますが、ブラームスほどの泥棒ではないですね笑 この章のトリオは同主音ですが、短調です(イ短調)。ここには、またしても密かな『ざわつき』が隠れています。そしてダ・カーポ、スケルツォ・・・と続き終わります。」

「最終楽章はロンドで副題はグラツィオーソ、とても優雅に。という意味です。この最終楽章はベートーベンの書いた中で最もエレガントな作品のひとつです。ベートーベンについてひとつ言われることは、彼の音楽は重量級だということで、確かにそれはそうですが、実際の彼は実に多面性のある複雑な作曲家で、様々なサイズの、いろいろな顔を持っていました・・・たとえばこの曲のように(第4楽章を途中まで演奏)。それからこの楽章を聴けば、『ベートーベンは、旋律の美しい作曲家ではない』と主張する一部の人々が馬鹿げてみえると思います。ベートーベンが書こうと思えば、水平に流れる長い旋律を生み出すことが出来ます。ただ、彼は常にそうしたかったわけではないんです。」

「そして、この章はとても声楽的ですね。音程も幅広く、まるでオペラ歌手のようです。いわばモーツァルトの書いたオペラ、コジ・ファン・トゥッテのフィオルディリージ(ソプラノ)のような広い音程、つまりこれはそういったオペラに対するオマージュともいえます。この優雅なロンドの中で、中間部にあたる短調・・・ここを私は『美女と野獣』と呼んでいます。これが『美女』(演奏)・・・そして『野獣』(演奏)。ほとんどパロディーか何かのようで、もちろん私達にショックを与えようとしたわけではないけれど、ベートーベンはここに、出来る限り素晴らしいコントラストを作り出そうとしました。大きなアクセントを用いて、ダイナミズムは先のピアニシモと対照的にフォルテシモ、さらにとても厚みのある和音を使っています。また、ベートーベンのスタイル・個性として・・・(すこし演奏) モーツァルト、あるいは後期のシューベルトのような透明さはみられず、とても力強い調子で書かれています。」





Cosi fan tutte
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ピアノソナタ第1番 へ短調 opus 2-1
2016-10-25 Tue 12:29
Part 1: Piano Sonata in F minor, opus 2 no. 1

「ゆにくあさん、この間ブログで触れたレクチャーコンサートについての詳細、まだですかっ」

とは誰からも言われていませんが、少しずつ日本語訳を書いていくことにしました。普段、ブログ上のお友達/ピアノの先輩方からサポートを受け、アドバイスをいただいていますから(ピアノの演奏のことではあまりお返しできませんが)こういう形で少しでもお役に立てたらいいな、と思いました。

内容に関しては、一語一句厳密に書いてしまうと何行あっても足りなくなるので、抜粋の意訳でいきたいと最初は思ったけれど、神は細部に宿るというか(笑)それに、いかにシフさんがベートーベンのソナタに精通されているとはいえ、ピアニストである彼がこれだけのボリュームの原稿を講義のために準備したということは、当然かなり慎重に構成を考えたんだろうなと思ったら、出来れば省略したくないという想いが発してしまい、結果的に信じられないほどの長文になってしまいました。なので本当にお時間のある方だけ、よろしければどうぞ。。

それから音声と聞き比べて「ちょっとそれ、シフが言ってるのと意味全然違うじゃん」という方がいらっしゃいましたら、もうほんと遠慮なく指摘していただけるとありがたいです。ざっと聴いて、ざっと書いたので誤字脱字や誤訳もあるかもしれません。そして、シフさんご本人の言葉の選び方/話し方は 1)静かで上品 2)でありながら、時々シニカルなジョークありのチャーミングさ。と言う点を常に念頭においてお読みください。イメージをぶち壊すようなことだけは避けたいので。笑


さて。

ということで、今日は第一回目のプログラムより「ピアノソナタ第1番 ヘ短調 Op.2-1」のレクチャー内容です。途中で何度も何度もピアノを弾きながら説明されているので、出来れば音源を聴いてもらえるとわかりやすいと思います。




(ピアノソナタ第一番へ短調 第一楽章のさわりを演奏後)

「音楽は演奏して聴いてもらうのが一番なので、こうやって解説するのはとても難しいんですが・・・それでも、こういう機会は重要かもしれないですね。特に、昨今の音楽教育は本来あるべき姿とは異なっていますから。今日は、既にみなさんが熟知していることをお話しすることになるかもしれないけれど、もしかしたら知らない人も中にはいらっしゃるかもしれないですよね」

「さて、ベートーベンは32曲のピアノソナタを書きました。ソナタ形式の音楽は17の弦楽四重奏曲と並び、ベートーベンが生涯をかけて作り上げた、いわば彼にとっての生命線のようなものです。ベートーベンは、素晴らしいピアニストかつ音楽家でした。これに関しては、本当にたくさんの証言者がいて・・・本物の証言者と偽の証言者も含みますが(笑)この『証言者』については常に若干の注意が必要で、例えばベートーベンの親しい友人で秘書を勤めたシンドラー。彼の意見に関しては疑念を持つべきですね。また、その他の発信源としてはベートーベンの一番弟子・・・例の酷い練習曲でお馴染みのチェルニーがいますね。まぁあれ(練習曲)は、スケールやパッセージを学ぶのにはとても実用的ですが(笑)・・・それはさておき、チェルニーはとても良い音楽家でしたけれど、彼の証言者としての意見については、同じく細心の注意が必要かと思います。なぜなら、彼は計2版の『正しいベートーベン・ピアノ曲の弾き方』を残しましたが、詳細と共に書き込まれたメトロノーム指示は、20年後に書かれた第2版で全く変わっているので、どちらのチェルニーの意見を信じたらいいのか、と思ってしまいますよね。とにかく、証言者たちの意見に耳を傾けるよりも、ベートーベンというユニークな天才を理解出来るよう、彼の直筆の楽譜・手稿をあたるのが最善ですが、残念ながら32曲のうち15作品分しか手稿が残っておらず他は紛失してしまっていますので、残された道は初版。ということになりますが、こちらはベートーベン監修ですのでむしろ信頼できるかなと思います。まぁそれと、基本的には自分の音楽的直感を信じて・・・ということになりますね。」

「先ほど、ヘ短調の冒頭を少し演奏しました。これが32あるソナタの第一作品目となるわけですが、まず想像して欲しいのがベートーベンはボン出身で・・・当時ボンは西ドイツの首都ではなく単なる小さな郊外の街でしたが、この若い天才がボンからウィーンへ到着した頃、ウィーンは既に世界的な音楽の拠点でした。そしてベートーベンは後、当時パトロンの1人だったヴァルトシュタイン伯爵のために、かの有名な『ハ長調 作品53 ヴァルトシュタイン』を残しますが(といって鼻歌を歌いながら冒頭を弾き)・・・ね、これがヴァルトシュタインさんです(笑)それで、このヴァルトシュタインが若きベートーベンをウィーンへ送り、ハイドンを通してモーツァルトの影響を受けるわけで・・・ご存知のようにモーツァルトは1791にウィーンで死去しましたが、ベートーベンがウィーンに行ったのはだいたい1793~1794年頃です。そして、ウィーンに到着したベートーベンは、やがてハイドンからレッスンを受け始めます。彼は、このop.2をヨセフ・ハイドンに贈りました。が、これを捧げた理由自体はあまり謙虚ではなかったというか、礼儀正しい発想ではなく、ハイドンは実はこれにかなりカチンと来たらしいですよ。ハイドンは、永遠の忠心的弟子(笑)のような存在を期待していたのだけれど、ベートーベンはあまり敬虔な弟子ではなく、彼はむしろかなり言うことをきかない弟子で『ハイドンから学ぶことなど何もない』と発言したそうです。これはベートーベンの革命的性質によるもので、特に若いベートーベンですね・・・熟年の彼はこんなことは言わなかったと思うけれど。しかし、このop.2または全ソナタを注意深くみるとわかりますが、この『発言』は全く真実ではありません。ベートーベンはハイドンからたくさんのことを学びました。実際の作曲のレッスンからではないかもしれないけれど、ハイドン独特の作曲技術を作品を通して学んだはずです。」

「ベートーベンがハイドンから主に学んだことのひとつとして『小さな細胞から作品を作りあげること』が挙げられます。小さな分子から。小さなモチーフから。例えば、これはごく小さなモチーフですね(といって主題を弾く)調性はへ短調、これが(といって和音を弾く)そのトニックコードです。そして(もう一度主題を弾く)これはマンハイム・ロケット(Mannheimer Raketeー旋律の中で速い上行するアルペジオまたはダイアトニック・スケールを使ったもので、クレッシェンドと共に登場することが多い。マンハイム学とかいう当時の流行からきている音形らしい)と言います。マンハイムは、その頃もうひとつの素晴らしい音楽都市でシュターミッツやディッタースドルフのような作曲家が生まれました。彼らは良い作曲家で(素晴らしい作曲家ではないけれど)そして彼らがこのようなスタイルを創作し、マンハイム・ロケットと名づけたわけです。それで今はハイドンの話をしているわけですが、たぶんこのフレーズを知っていますよね(といって短いパッセージを弾く)。これは、モーツァルトの名作・交響曲第40番のフィナーレ部分ですが、ここにもマンハイム・ロケットは使われていますよ。」

「ところで、ベートーベンがモーツァルトを崇拝していたであろうことはほぼ断言できますが、実はベートーベンとモーツァルトには全く共通点がありません。しかし、ベートーベンとハイドンにはたくさんの共通点がありました。ベートーベンが「何も学ばなかった」と言い放った、あのハイドンです。モーツァルトもまた、ユニークな天才で・・・たしかヨセフ・クリプスが言ったと思いますが”Beethoven goes to heaven, Mozart comes from heaven." (調べたところ、正確には Beethoven is heavenly, but Mozart came to us from heaven.- Josef Krips 似てますね笑)

モーツァルトの作品の解釈を試みる場合、細心の注意を払わなければならないと思います。なぜなら彼は本当に超人的で独創的天才ですからね。個人的にハイドンやベートーベンは(もちろんモーツァルトと同じくとても重要ですが)私達と同種という風に・・・もちろん同種とはいえ彼らはその中でも極めて優れた人間ということになりますが、曲の理解という観点では考えを想像しやすいです。それに比べてモーツァルトは、とても理解しやすいとは言いがたいですね。モーツァルトの場合、彼の意図する『金塊』を掘り当てなければなりませんが、右かなと思って右へ行くと、すぐに左へという風に・・・モーツァルトは意見を翻してすぐに反論しますからね笑」

「さておき、ベートーベンの革命的とも言える作風は、既にこのソナタ第一番から頭角を現しています。ヘ短調はとても風変わりな調性で、楽譜を読める方・・・恐らくここにいるほとんどの方はおわかりかと思いますが、♭4つです。あの頃の音楽家が楽譜出版のために作曲する時、自身のコンサートのためだけでなく、取り巻きのアマチュア音楽家たちが演奏することも視野に入れていました。例えばモーツァルトは理論的というよりも極めて実践的な作曲家でしたから、彼の作品には♭4つ以上の調性はほとんど見当たりません。もしかしたら(複雑な調性は)アマチュア相手の楽譜出版の際に良くないと思ったのかもしれませんね。それに比べてベートーベンは、一作目から即座にヘ短調を取り入れます。なぜなら、アマチュアのためというのもありますが、第一に自分自身のために書いたからです。ベートーベンはサロンやウィーンの宮殿などで演奏していましたから、そういった場所でとりわけ良い印象を与えたかったわけです。」

「ここで、もう少し演奏しましょう。紹介したい面白い話があるんですよ。私の同僚のひとりが講義演奏会をした時のことです。彼は音楽を労働階級にも広めようと、ミラノのとある工場でシェーンベルクのピアノ音楽について話し始めたんです。3分後、奥の方から低い声で『・・・説明はいいから演奏しろ!』と聴こえてきました。彼はピアノへ移動し演奏を始めましたが、1分も経たないうちに今度は誰かが『むしろ話せ』とどなりました(笑)」



シェーンベルクのピアノ音楽の一例です。笑


「・・・・ではまた冒頭を少し演奏しましょうね。(冒頭を演奏)これが最初でフェルマータ。まず第一にベートーベンの使う言葉は誇張的です。彼の曲は歌うというよりも、むしろ復唱または話しているように思えます。第一楽章は、単に『アレグロ』と書かれていますから『普通のテンポで』と言う意味になりますが、加えてアッラ ブレーヴェですから2分の2拍子で演奏するということになり、つまり(拍の数え方的に考えると)速めのアレグロとなります。それから、アップビート(裏拍)で曲が始まりますね。たとえ楽譜が手元になかったとしても『アップビートから始まっている』等に気づくのは曲の解釈上とても重要です。時折、そういったことが解釈に配慮されていない演奏もみかけますが(笑)。

モーツァルトやハイドンと比較した場合、ベートーベンは割と厳密に演奏上の指示を楽譜に残しています。それはテンポ指定から始まり、拍、そして細かな強弱の指示・・・例えばここの場合p(ピアノ)ですね。ピアニッシモではありませんから『ささやき』ではありませんが、おだやかな口調です。そしてこのフェルマータの後、彼は音楽をバスへ移動させます(といって、続きを弾く)。この部分は推移、二つのテーマを繋ぐ橋のようなものです。」

「そしてすぐに2つ目のテーマが始まりますが(提示部)、この部分はモーツァルトやハイドンの音楽にはみられないような独特さがあります。バスにミ♭、それにぶつかり合う右はファ♭ですから、すごい不協和音です(このあたりは弾きながら説明しています)。二つのテーマを比較した場合にも、片方は上行音形のマンハイム・ロケット、もう片方は下降音形となり、つまりそういった意味でも二つのテーマは強く関連し合っているということです。それから、みなさんには音楽的な性格/キャラクターについても感じ取って欲しいと思います。なぜなら、ベートーベンはこの性格付けについても革命的な取り組みを行い、楽章ごとに別々のキャラクターを置きました。これはとても重要なことです。例えばこの部分は煽動的で不安な様子です。時折、こんな風に弾く人もいますが(といって、ゆったりとしたテンポで冒頭を演奏)・・・これは全くのナンセンスです。なぜなら、アッラ ブレーヴェでもなければ革命的でもないですから。ただし、私もこの部分が「アジタートな不安感を表現している」という確固たる証拠は持っていませんが・・・私はそう信じるからこそここにいるわけで、曲の解釈をするということは自分の信念を持つということでもあります。あなたは同意しないかもしれない、しかし私はそう信じる・・・時にそうあるべきですね」

「(さらに続きを弾いて)このあたりは、スフォルツァンドの嵐です。これは私の決めたスフォルツァンドではなく、ベートーベンが決めたスフォルツァンドです。スフォルツァンドというのはアクセントの一種ですが、ひとことでスフォルツァンドと言ってもいろいろあって、例えばフォルテの中のスフォルツァンドはピアノの中のスフォルツァンドとは全く別の性格を持ちます。そして次の部分(といってまた演奏)は息切れするような前進し続ける印象ですね。それからここは(また演奏)スビトピアノ。後期の音楽家は、基本的にクレッシェンドやディクレッシェンドを使ってダイナミクスを上下させましたが、ベートーベンの場合、ディクレッシェンドにしたかったらそう書いていますし、ここで重要なのはスビトピアノ・・・突然にピアノまで音量を落とすことで、だんだんとではありません。それから、この先の第3テーマについては、ベートーベンによって 『エクスプレシーボ』と書かれていますね。こういった細かい指示はモーツァルトの音楽ではまずみかけません。彼はそう思っていても書き残したりしませんでしたから。そして恐らく多くの賛同意見がいただけると思いますが、通常ベートーベンがエクスプレシーボと書いた時、それは音楽がほんの少しだけ減速することを望んでいるという意味です。こんな風に(ちょっと演奏)。それとここのオフ・ビートな感じ、わかりますか? っぱ っぱ っぱ という感じです(左手側)。そしてフォルテシモ。ハイドンの作品では稀に(フォルテシモ指示が)あったかもしれないけれど、モーツァルトのダイナミクスはフォルテどまりですから、ベートーベンの音楽は特徴的にバラエティにとんだダイナミクスが使われていると言えます」

「さてご存知のとおり、中間にあたるのが展開部となりますが、このあたりが巨匠が巨匠である所以をみせつける部分です。モチーフの題材を巧みに使って、最もドラマチックに展開していきます。調性的には、ヘ短調から変イ長調へ移行しますが、変イ長調はヘ短調の平行調(同じ♭の数がある長調と短調の関係)にあたりますね。そしてその後pから始まった冒頭とは対照的に、意気揚々としたフォルテシモで主題が戻ってきます。これは新しい光を取り入れようという試みです。主題が戻る直前に、その準備としてポンポンポンと入り(模範演奏あり)この時の『ド』の音がドミナントにあたります。それからナイフを後ろから刺されたような痛みを感じるほどの不協和音が一瞬加わり、そこへ主題の後ろの部分(トリルのところ)だけを選んで、差し込まれています。大音楽家ベートーベンは、もちろん素晴らしいピアニストでしたが、彼の想像力の中では既にオーケストラ音楽を意識しているのがうかがえます。少なくとも私は(ピアノ曲であっても)単にピアノの音としてだけ捉えずに、その中にオーケストラの楽器をみつけようと試みているのですが・・・例えばここはクラリネット・・そしてフルート・・・ふたつの楽器が出てきました。それに加えて、ベートーベンの音楽には常に弦楽四重奏の存在が見え隠れし、いつもそこを目指していたといえますが、実際にベートーベン自身が弦楽四重op.18を発表するまでは、さらに5~6年の時間がかかっています。とにかくこういったことから考えても、ハイドンのことを『何とも思わない』と言ったベートーベンですが、そんなことはありえない話です」

「これでだいたい第一楽章をまとめましたが、最後に終わりの部分を弾いてみましょう。このようにドラマチックなフォルテシモで終わりますが、答えを得ることを前提とした強い疑問符、フォルテシモの中にスフォルツァンドを散りばめたとても強い調子で終わります。

第二楽章はヘ長調のアダージョです。ところで、このソナタのように4楽章構成で、しかも4楽章全てに同じ調性『ヘ(F)』が使われるのは珍しいことです。これはベートーベンが『田園28番』(または弦楽四重奏op.59-2)でも使う手法ですが、こういった手法はむしろ稀です。なぜなら通常、作曲家たちは調性で曲に変化をつけていくことで、聴き手である私達にバラエティー感を提供することを好む傾向があるからです。とはいえ、ベートーベンは同じ調性の中でも、さまざまな個性を与えることでバラエティーを提供することに成功しています。アダージョはとてもゆっくりとした楽章で、ここでまたたくさんのゆったりとした音楽を作ったハイドンとの関連性が出てきますが、モーツァルトは別ですね。モーツァルトの「ゆったり」はアンダンテ、アンダンテ コン モート、アンダンティーノなどでしょうか。ちなみに『アンダンテ』の語源はイタリア語の『アンダーレ』歩く速度で。の意ですから、誰かに『アンダンテはゆっくりだよ』と言われたことがあるという方、それは間違いです(笑) ともあれ、アダージョはとてもゆっくりした動きです。」

(第二楽章の演奏を挟み)

「今回もアップビートから始まり、3つずつカウントします(3/4拍子)。この第二楽章はベートーベンの音楽の傾向からみると、むしろ意図的に慣習的であるスローテンポへ持っていったような章です。なぜなら、他の章は『慣習的』とは程遠いですから、ベートーベンはハイドンにあまりショックを与えないよう気を遣ったんでしょうね、恐らく。女性的終止に溢れ・・・(といいながら演奏しつつ)・・・ところで、これは女性に対して何か言っているわけではないですよ・・・セクシャルハラスメントとか、そんなものではないですからね笑。とにかく、これらは女性的終止形ですので。とても美しいカンタービレ、歌うようなゆったりとした楽章ですが、この後(第三楽章で)メヌエットという形でまたヘ短調へ戻り、そしてトリオと続きます。

三楽章もこれまで通りアップビートで始まりますが、不吉な感じでとてもミステリアス、すっきりとわかりやすい感じの音楽ではないですね。4声のハーモニーは、弦楽四重奏を念頭に書いた可能性もあると思います。また、不協和音にスフォルツァンドを置いています。第二部は突如全く予期しない形のユニゾンで爆発を起こし、しかもこの楽章では初めて出てくるフォルテシモです。まるで「柔和なフリはもうたくさんだ!」とでも言っているようです。ここでもスビトピアノ、突然の音量減少です。そして、うす気味悪い最後の終止の後はトリオ・・・光と影のようなとても美しい表現が続きます。ここは素晴らしい対位法をもって書かれています。音楽は変化し、交響曲第一番でも使われたベートーベンお気に入りの6度の響きが出てきますね。そしてダ・カーポ、メヌエットが戻って来ますが・・・ところで初期より『メヌエットは二度繰り返すべきである』という動きがあって・・・申し訳ないけれど、私はそんなの我慢できないですね(笑)推進派いわく(繰り返すべきという意見の)源はピアノ・スクール・オブ・ダニエル・ゴットルプ公爵にあるそうで、私に言わせればこれは別の形でのチェルニーみたいなものですよ(笑)ゴットルプ公爵に『トリオのあとメヌエットを繰り返しなさい』と言われたとしても・・・私が間違ってるのかもしれないけれど・・・『人間は二本の腕と二本の足だけれど、三本目は必要ない』といったような気分になりますね。」

「フィナーレ(第四楽章)は極めて並外れた名作です。アッラ ブレーヴェ(二拍子)でプレスティッシモ。とても過激です。これは極めて先進的な楽章で、ペルペトゥーム・モビレ(無窮動)的な躍動感があり、喩えていうならば『シューベルトの魔王』に通じるものがあるかもしれません。(少し演奏して)・・・とてもブルジョアな音楽とは言いがたいですが(笑)現代においても、極めてショッキングで(また少し演奏して)常に・・・地獄の釜で煮えたぎっているようですね。そして今私が演奏を止めたところの後から、この楽章の中でもっとも叙情的な旋律が始まります。とても美しいです。突如として、オアシスのようでロマンチックな風景ですね。それから展開部について、少しお話したいことが残っています。なぜなら展開部はまるで全く新しい別の作品のようなので。通常のフレーズを考えると・・・まぁ常に2+2 4+4とはいきませんが、ここのフレーズは10小節という長さです。シンメトリーとアシンメトリーの対比、これもまたハイドンが編み出した奏法に似ています。そして、ベートーベンはこの『島』から戻ってきて、脅迫的モチーフが再び現れ、エクスプレシーボ・・・(曲の最後まで演奏し)そして地獄へ落ちる。開放されることなく、希望もない。非常に面白い、革命的なソナタといえますね。」


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Moments musicaux
2016-10-24 Mon 13:57
ゆにくあです。


ラフマニノフの楽興の時4番が大好きです。




自分には一生弾けないだろうと思うと、余計に
憧れます。笑


それで楽興違いですが、昨日はシューベルト楽興の時
3番を譜読みしました。ただでさえ手持ち曲が多いのに、
と自分でも思いますが「今日弾きたい曲。」というのが
あるのと、常に新しい楽譜を見ているのが好きで・・・
活字中毒じゃないけど、やや中毒気味です。笑

それで、

この曲は繰り返しが多いので弾く側のセンスが問われる
というか、なるべく軽やかに弾きたいのだけれど、地味に
難しいところが数か所ありました。それと、左のリズムは 
「っちゃ っちゃ」 と弦をひくイメージで練習しましたが、
左だけ弾いて右は弾かずに歌うと、えらく気持ちが良い
ので、実際の練習が滞ってしまいました。笑

気に入ったので、もう少し練習を続けたいと思います。




ところで、今ホロヴィッツの演奏を聴いていたら、化学の
草野先生を思い出しました。草野先生は、とても静かに
まるでささやいているように話す人で、授業中は寝不足
でもないのに何度も気絶しそうになりましたが、と同時に
やけに抑揚のある話し方なので、ひとつの文章の中で
声が大きくなったり小さくなったりしました。
・・・あれは安眠妨害・・・ある種の拷問だったなぁ。


さておき、ホロヴィッツの演奏とても美しいですね。





話はかわりますが、

シフが昔イギリスのウィグモアホールという所で行った、
レクチャーコンサート(全8回)というのがありまして、
内容はベートーベンソナタ32曲についての講義です。
(既にご存知の方もいらっしゃるかと思いますが)


それで、現在もその音声は自由に聴くことが出来るので、
昨夜いくつか聴いてみたんだけれど、これが思いのほか
面白くて宝物をみつけた気分です。もしかしたら、興味の
ある方がいらっしゃるかもしれないので、リンクをどうぞ。

音源は、こちら(英語)。





あ。

今思い出しましたが、
そういえば、音楽を聴こう!企画が
完全放置になってますが、

あれはですね、授業の内容としては面白かったけど、
文字化してもいまいち伝わらない部分が多かったのと
「そんなのもう知ってるよ情報」かなと思い書いてない
のです。


・・・ということもあるので、はっきり断言できないけれど
書けそうだと思ったら、レクチャーコンサートについて
あとで詳しく書くかもしれません(・・・なにしろ32曲分、
長いものは音源40分とかなので、膨大な文章量になり
そうなのと、私の音楽的知識程度で書けるか不安。笑)

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シフに学ぶ。
2016-10-22 Sat 03:53
ゆにくあです。


ショーンの首が腫れていて、今病院へ行っているところ。
大事ではないと思うけど・・・ぽこんと膨らんでいるので、
念のため。子供のことは、何かあったらといつも心配です。

***

ここ数日、ピアノを弾くかわりに夜な夜なマスタークラスの
動画を観ていました。もちろん題材となる曲はいろいろ。
教える先生もいろいろ。一流の人が、将来有望な若者に
小さなヒントを与える・・・観ていて全く飽きません。

思うけど、どうしてみんなああいう席で似たような長い
「超絶技巧曲」を弾くのだろう。通して弾くだけで時間を
使っちゃうじゃん笑 短い曲をやってみたら、その分
細かく教えてもらえるだろうに。。


さておき。

とある先生が言っていました。

「音楽は数学と比較されがちだけれど、厳密には物理。
時間(拍)とアーティキュレーションによって常にうねり、
どこかへ進もうと移動するもの」

音楽は触れないし、見えないし、匂いも味もないけれど、
確かに形があり、ストラクチャーがある。


その先生の、ピアノを弾く時3つの人格が協力している
という話も興味深かった。

1人目は音を奏でる前に音を聴く人。個々の理想の音、
こうありたい。と思う音が聴こえる人。

2人目は、実際に鍵盤に触れてピアノを弾く人。

そして、3人目はちょっと離れたところから演奏を
聴いていて、「そうそう、そんな感じ」とか「違う違う、
そこはもっとこういう風に」と細かく指示を出す人。

演奏中は、3人目が一音ごと一小節ごと、常に
2人目に指示を出して進行する。しかし困ったことに、
1人目と3人目が聴いている音が同じとは限らず、
もちろん・・・その音が一致するとエクスタシーへと
達するのだけれど、一致することは滅多にない。

という話。 ・・・・確かに。笑



公開レッスンというのは、まず生徒が弾いて、その後
講師側がアドバイスをしますね。生徒は背筋を伸ばして
「この人はこれから、有益情報を漏らすんだ。絶対に
聞き逃さないぞ!」と、空腹そうな目で前のめりに。

しかしその時「ここをもう一度弾いて」と始めるかわりに
「何か(自分の演奏で)嫌だな、変えたいなとと思う点は
ありませんか」と質問していました。

「あなたのキャリアの中で、いつの日か『先生』から
旅立って、自分の力だけで作品と向かい合う。
その時、自分の演奏を診察して治療薬を出すのは、
あなた自身ですよ」


そういえば、シフの公開レッスンもYOUTUBEに
挙がっているものは、ほぼ全て観たと思うけれど
彼が注意する点はどの曲でも、どの生徒でも
まぁだいたい似ていて

・声部ごとに、個々の味付けをすること

・隠れたパルスを掴むこと

・和音の進行から作者の意図を汲むこと

・リズム、アクセントに気を配ること


・・・この辺になると思いますが、そのほかだと
ハーモニーの流れをみることも好きみたいで
ある生徒・・・なんの曲だったか忘れたけど
(インプロンプチュだったかも・・・)とにかく、
彼が一通り弾き終わった後、唐突に

「この曲の、特に変わっている点はなんですか」

とか難しい質問をしていて、かわいそうな生徒は
目を白黒させて

「わ、わかりません・・・」となってて。笑

答えは「短調の曲なのに長調から始まるところ」
だったんだけど、さらに「この曲以外で、そういう
風に始まる曲は?」とかダメ押ししてて、だけどさ
最初の質問に答えられなかった時点で、そんなの
答えられるはずがないのに、まるで公開処刑。笑

他の生徒にも「この和音の繋がりでもっとも重要な
音はどれ?」とかバリューの質問していて、その子は
肝が据わっていたので、当てずっぽう的に「これ」と
弾いたけど、容赦なく否定してました。笑

そうそう、それとどの曲でも
「ナポリの6度はアンダーライン」と必ず言ってた。


それと、昨日たくさーーん観た中で、唯一キャッチした
シフのメカニカルなアドバイスをシェアしますが、例えば

ジャーンってぶ厚いハーモニーを、ただちに音量小さく
する弾き方。

「弾いてペダルを踏んだら指をいったん離す&ただちに
置きなおす(が、この時音は出さない)」とやると・・・
ベトソナ必須の、スビトピアノ効果が出るそうです。

厳密には「2、3回置きなおす」と言ってたんだけど、
なんで複数回やらなくちゃいけないのか、よくわからん。
そして、簡単に言うけど音を出さずに8つの音を同時に
置きなおすって、めっちゃ高度なんですけど。笑

で、今朝になって悲愴第一楽章の出だし部分で試して
みたけど、これって置きなおしてすぐにペダルもはなす
のかな・・・10回に1回くらい、それらしき音が出た気が
するけど。。

もうちょっと研究してみます。


****


さらに脱線しますが。

ピアノのマスタークラスを観た流れで、声楽の
マスタークラスの動画も観たんです。

講師は、でっかい金髪のおばあちゃん。私は
全く知らないけれど、若かりし頃は大スター
だった風な貫禄で、結構ズバズバと言いたい
ことを言うのが面白かった。

「あなたいくつ? 女性に年齢を聞いて悪いけど
体力とか声の年齢も考慮しないといけないから」

とかね

「どうしてメゾ・ソプラノを選んだの? ソプラノに
転向したら? あなたの声にはメゾに必要な
音量や暗い質感が全くないのに」

とかね

「『a』にフレンチアクセントがついてましたよ。
すぐに直しなさい。ほら、また!」

って、しつこく発音を直したりね笑

挙句の果てには、ピアニストとしてステージに
挙がってた若い男性の冒頭の弾き方&音にも
忠告が及び「あなた、名前はなに? この曲は
死を決意した男の曲なんだから、大きな音でという
意味ではなく、音の質としてもっと重く苦しく弾いて
くれないと」って、何度もダメ出ししててピアニストの
人、(ひえ~っ)って思ってそうな顔してました。笑

だけど、「ほら、そのフレーズ! 素通りしないで
それを使って何かしなさい!」とかね「この男(役)は
嫌なやつなんだから、仮面の下の狡猾さを含んで」
とか、なかなか面白いことも言ってた。

それで、

これだけ言いたいことを言う彼女の全盛期の歌を
聴かなければ気がすまなくなり(笑)探したんだけど
かわりに、マリア・カラスの音源をみつけました。

前にも書いたけど、母はオペラを含む全ての歌が
好きで、女性では特にマリア・カラスが大好きで、
必然的に、私も子供の頃はいつもオペラが流れて
いる環境だったけれど、最近は聴いてなかった。

で、母も昔は歌ったので、例えば台所で料理し
てる母が鼻歌を歌ってるのが聴こえてきたりね。
想像すると、変な図だろうけれど・・・私にとっては
幼少時代の思い出なわけです。

それで、その音源を何気なく聴いたら
ものすごい勢いで記憶が流れ込んできて、
ノスタルジーと、歌の美しさでしばし息が
出来なかったです。




オペラいいよね。

蝶々夫人とかさ~。ベタだけど、あれを泣かずに
聴けたことないよ。最初の5秒で大抵泣く。笑


****

おまけ。

月光録ってみました・・・・後半、暗譜が超微妙ですが
いまさら私の演奏に完璧を求める人はいないだろう
・・・ということで、このまま載せます。。

というかこの際、

「失敗は肩のせいだ。」ということにしましょう。笑
特に、よりによって最後の最後で次の音を弾いて
しまってから

「あ。今、 ド 弾くの忘れたかも?」

と気づいたけど、もう音楽は次へ行っちゃってるので
無視してそのままマトメました。実際、これでも少し
体をいたわって、この一回しか弾いてません(笑)








なぜいまさら月光かというと・・・月光第三楽章の
譜読みをしているから、1と2をおさらい中なのです。
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モーツァルト、マイラブ。
2016-10-19 Wed 02:00
ゆにくあです。


ここのところ、ブログ放置気味。
気づいたら、また10日経っている・・・。


・・・肩がよくならず、本気で迷惑しているんですが(笑)

とりあえず、3octを超えるスケールが出てくる曲は
上半身を右へ持っていかないと(固定されてるので)
移動できないんですが、それ以外はピアノを弾く時に
痛むことなど全くないので、それはいいんだけど。

日常生活がむしろ面倒。

髪は横三つ編みしか出来ないし、腕の長さプラス5cmの
位置に手を伸ばす。とかも出来ないので、いちいち体ごと
移動するのが超だるい(笑

あと、先週の火曜日・・・だったかな。朝目覚めて、ふと
(もしかして今日レッスンかも)と気づいて、その前に少し
弾いておこう。とピアノに向かったのが朝の8時。

そしたら思いの他スイッチ入っちゃって、子供が帰宅する
3時半まで休憩なしで7時間ピアノ弾いてたことがあって、
そしたらさすがに疲労したのか、夜中に痛くて眠れなくて
酷い目に遭いました。

(しかもその日、先生来られなかったという笑)

以来、そうかピアノがダメじゃなくて、連続がダメなんだ!
と思って「1時間弾いたら必ず1時間休憩する」って風に
キッチンのタイマーが鳴るように設定して、1時間弾いた
ら掃除機かけて、また1時間弾いたら洗濯物畳んでって
やってるんだけど・・

家事なんてたいして時間がかからないから、やることが
なくなってしまって、意味もなく「妖怪ウォッチぷにぷに」
したり。ショーンとdon't starveしたり。




レッスン曲以外で練習している、楽しい曲。
変奏曲大好き。モーツァルト大好き。

(月光を限りなく静かに弾く練習とかもしてるん
だけど、最近になり少し成果が見えてきて嬉しい。)


でお勉強は今、バス課題のあたり。

私のみてる本は、まず長調で全部やってから、短調へ
移る構成で、長調のバス課題でひとつのフレーズに
対して最低2種類作れ。という練習問題があり
「基本に忠実なダサバージョン」と「基本から旅立った
かっこいいバージョン」を作りましょう、と。

けど、初歩ということで縛りがやたら多く(展開禁止とか)
並達5度に気をつけつつ、反行させメロディーを動かして
よしルールはカバーした!と、いざピアノで弾いてみると





私。。。。ダサバージョンの天才かもしれない。

てにをはがわかるのと、小説を書くのとは
別次元ってことですね(笑


そして「こんなのできないし!(しかも問題数多すぎ)」

と思ってげんなりしていると


実は有名曲のバスだけ見せてました。って仕掛けで、
「ショパンの」とか「バッハの」って完璧なお手本があり
ぐうの音も出ないという。笑 


しかし、自分でああでもないこうでもないと考えて
和音を繋げてメロディを作り、それをいざピアノで
弾いてみる瞬間って、ちょっとだけわくわくするかも。

ここまでハーモニーを愛でて、内声の流れに愛着を
感じたことはないかもしれない(笑 

ダサバージョンだけど。


***

それはそうと、こんな腕をつっている状態で
レッスンとかどうなんだろう。と悩んでいて。

レッスン中は固定してるものをはずすにせよ、普段
1時間ごとに休憩しながらの練習だと、乗っていた
ところで中断になる形で進みが悪く。

それで、先生に電話して事情を説明したんだけど

「私だって痛いところあるけど、そんなの無視している」

というロシア人的な根性コメントをいただき(笑)

「だけど、痛みがあるなら別。自分でどうするか決めなさい」

と突き放され、(当たり前だけど)

うーーーーーーーーん と悩んでしまって

治るまでって言ったって、いつまでかかるか知れないし
とりあえずピアノ弾けないわけじゃないし、レッスンは
怪我してても続けるか、迷う。

「練習不足で、なにも新しく見せるものがないのに、
呼びつけるのは気がひける」と言ったら「練習したか
どうかなど関係なく、レッスンでは必ず何かやること
(直すところ)があるものだ」とおっしゃるので、
明日また電話して予定を組みなおそうかな。とは
思ってるけど。。


(タイミング悪く、仕事の依頼もあったりして、だけど
タイプするのもあまり長時間だと疲れるので、極力
避けていて、プラス みなさまのところでコメントも
出来ていませんが・・・)


あ~ 今年はなにかと変則的。
ま、こんなこともあるよね。
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上三和音だけに上から目線
2016-10-07 Fri 14:44
ゆにくあです。

気づいたら1週間経っているので、ちょこっとアップデート。

その1) 今週のレッスンは「フロリダにhurricane matthewがやってくる日」と重なってしまったため延期しました。


11年ぶりに、カテゴリー4のハリケーンが来ちゃうってんで、お祭り状態だった今週。オバマまで「今度のはやばい」とかテレビで言い出すから~ 

・ガソリンスタンド、長蛇の列(エルマん時にガソリン品切れだったから、州全体が強迫観念モード)

・どの家も、慌てて全窓に鉄シェルター(つまり雨戸)
(ちなみにうちも水曜につけたけど、旦那が高所恐怖症なんで「二階は高すぎて無理」という理由でシェルターなし)


それで、ショーンんとこの理科の先生は「災害対策係」なので、子供達に「サバイバルのコツ」を生き生きと伝授→ゆにくあに伝わる→面白いから、いろいろ準備。という流れで、冷凍庫の生肉用に氷たくさん作ったり、家中にキャンドル配置したり、なにげにすっごい楽しかった。


もうねー (停電と断水を予想して)水曜の時点で、洗濯・掃除等を全て済ませ、料理は金曜の夕食まで3食分も作っちゃいましたよ! だから冷蔵庫の中は、食べ物でいっぱい。。 さらに非常食として、2ℓソーダとかチップスとか、お菓子を調達。(全然、非常食じゃないけど。単なるおやつだけど) あと朝食用にキッシュ、ベーコンもカリカリに焼いておいて、ワッフルも10枚焼いて準備万端。


どんだけ大事なお客さまが来るのか、的な。



けど、当日(木曜)ぜんぜん何も起こらないんで、内心 『まさか、来ない気???』 とか『こんな小雨でお茶を濁すのか、マシュー!』とか思ってたけど、いや不謹慎ですね。何事もないのが一番です・・・・



その2) お勉強の方も順調です。

ひたすら各声部に和音のどれかを当てはめていく作業。声部連結のあたりです。これって、なにげに「知ってると便利な情報」の域から先へ移動している気がして、作曲する人用の情報じゃない?と思わないでもないけど・・・実は(それ始めると時間食うから)自制してるんだけど、手元にある楽譜でセオリーをあれこれ検証したくてウズウズしてるんですよ(笑 なので、次の譜読みからは絶対的に『出てくる和音の種類を全て調べて、その連結を見る』が最初の作業として加わった感があり、鍵盤触る前の楽譜に目を通す時点でかなり時間がかかるかもしれない。。


余談。

参考のためにいろんなサイトをまわってて気づいたこと。

いわゆる「吹奏楽の曲書いてます。とか 和声学教えてます。」って先生っぽい人のサイトは、情報が整理されていて必要な項目を引き出しやすいけど、文体が硬いので(知識ゼロで読むと)やや取っ付きにくい。音大生だった人の健忘録的なブログは、授業のノートを参考に書いてるのが文体からわかり「おきまりの、○○」とかうんざり感が乗ってたりする上に、強烈なテスト勉強臭がして「よくわかんなかったら、これ丸暗記でok」とか、面白い。ちなみに、タイトルはどっかでみかけたサイトからの引用です。ここまでするのも、ある意味すごい。アル ソプの少女 ハイチ(配置)とかw

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| ゆにくあ缶 |